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新人紹介
しんじんしょうかい
作品ID47870
著者堀 辰雄
文字遣い旧字旧仮名
底本 「堀辰雄作品集第四卷」 筑摩書房
1982(昭和57)年8月30日
初出「読売新聞」1929(昭和4)年1月26日
入力者tatsuki
校正者染川隆俊
公開 / 更新2011-04-12 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 一、履歴、僕は千九百四年十二月東京に生れた。
 芥川龍之介は僕の最もよき先生だつた。彼の死くらゐ僕を感動させたものはない。
 彼の死後、まもなく、僕はひどい肺炎にかかり、長いあひだ生と死との間にあつた。
 僕の肉體はやがて恢復した。しかし僕の氣持はまだ生と死との間をためらつてゐる。その時分僕は僕の友人等に自殺するだらうと噂されたものだ。
 さういふ死の境地から僕を救ひ上げたものは僕自身の製作欲である。僕は一つの作品を書くことによつて蘇つたのである。「不器用な天使」がそれだ。
 一、思想、僕はいかなる藝術上の流派にも屬してゐない。僕は單數の藝術家である。僕は一切の複數なるものは嫌ひである。コミユニズム。スユルレアリズム。僕はそれらを嫌惡し、そしてあくまでも彼等に反抗する。
 一、作品、「風景」(一九二六年、山繭)、「ルウベンスの僞畫」(一九二七年、山繭)、「不器用な天使」(一九二九年、文藝春秋)。その他、詩、詩人批評、飜譯等がある。「ジアン・コクトオ抄」を近刊する。
 一、現住所。本所區新小梅二番地一號、上條方
(この肖像は僕のよき友宗瑛によつて描かれたものである。)



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