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勘平の死
かんぺいのし
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「文藝別冊[総特集]岡本綺堂」 河出書房新社
2004(平成16)年1月30日
初出「演劇・映画」1925(大正14)年12月
入力者川山隆
校正者noriko saito
公開 / 更新2008-06-02 / 2014-09-21
長さの目安約 56 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 登場人物    初演配役
和泉屋与兵衛  (団右衛門)
女房  おさき (菊三郎)
倅   角太郎
娘   おてる (福之丞)
仲働き お冬  (栄三郎)
番頭  伝兵衛
同じく 弥助
同じく 和吉  (男女蔵)
大和屋十右衛門 (彦三郎)
三河町の半七  (菊五郎)
その妹 おくめ (竹三郎)
常磐津 文字清 (鬼丸)
半七の子分亀吉 (伊三郎)
同じく 幸次郎 (鯉三郎)
ほかに女中。和泉屋の若い者。小僧。素人芝居の役者。手伝いの役者。衣裳の損料屋。芝居見物の男女など

大正一四・一二作
『演劇・映画』
大正一五・二、新橋演舞場初演

 第一幕

 京橋具足町の和泉屋という金物屋の奥座敷。初午祭の素人芝居の楽屋になっているていで、そこには鏡台が幾つも列んで、座蒲団などもある。衣裳葛籠がある。鬘がある。大小や編笠や鉄砲などの小道具がある。燭台や手あぶりの火鉢が幾つも置かれてある。薬鑵や茶道具などもある。何分にも狭いところに大勢が押合っているので、足の踏みどころも無いような乱雑の体たらくである。――江戸の末期、二月初旬の夜。

(座敷のまん中には忠臣蔵六段目の勘平に扮したる和泉屋の若い息子角太郎がうしろ向きに横たわっている。角太郎は半死半生で唸っているのを、店の若い者庄八と長次郎が介抱している。若い番頭和吉、二十四五歳、千崎弥五郎のこしらえで少しくあとに引きさがって眺めている。同町内の呉服屋のせがれ伊之助は原郷右衛門のこしらえ、酒屋のせがれ三蔵はおかやのこしらえで鬘だけを取り、同じくその傍にぼんやりと坐っている。そのほかに衣裳かづらの損料屋五助、顔師にたのまれて来た役者の三津平、店の若い者四五人と小僧二人、それらが立ったり坐ったりしてごたごたしている。)
庄八 まだお医者は来ないのか。
長次郎 誰かもう一度行って呼んで来い。
庄八 急に怪我人が出来ましたから、すぐにおいで下さいとよく云って来るのだぞ。
小僧一 あい、あい。(下のかたへ出てゆく。)
伊之助 小僧さんひとりが行ったのじゃあ判らないかも知れない。誰か若い衆さんをやったらどうだね。
長次郎 じゃあ、いっそわたしが行って来ましょう。(起ちかかる。)
三蔵 正直に若旦那が大怪我をしましたからと云った方がいいかも知れないぜ。
庄八 そうだ、そうだ。怪我人は若旦那だと正直に云った方がいいよ。
長次郎 わかった、わかった。
(長次郎はあわてて出てゆく。)
三津平 なにしろ飛んでもないことになったものだね。
五助 どうしてこんなことになったのか、夢のようでさっぱり判らねえ。
三津平 わっしにも判らねえ、どうも不思議だよ。魔がさしたのかも知れねえぜ。
(下のかたの襖をあけて、和泉屋の主人与兵衛、四十七八歳、あわただしくいず。)
与兵衛 もし、せがれがどうしました。
伊之助 思いもよらないことが出来して、みんなも…

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