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神曲
しんきょく
作品ID4820
副題03 天堂
03 てんどう
著者ダンテ アリギエリ
翻訳者山川 丙三郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「神曲(下)」 岩波書店
1958(昭和33)年8月25日
入力者tatsuki
校正者浅原庸子
公開 / 更新2005-12-24 / 2021-01-03
長さの目安約 438 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

   第一曲

萬物を動かす者の榮光遍く宇宙を貫くといへどもその輝の及ぶこと一部に多く一部に少し 一―三
我は聖光を最多く受くる天にありて諸[#挿絵]の物を見たりき、されど彼處れて降る者そを語るすべを知らずまた然するをえざるなり 四―六
これわれらの智、己が願ひに近きによりていと深く進み、追思もこれに伴ふあたはざるによる 七―九
しかはあれ、かの聖なる王國たついてわが記憶に秘藏めしかぎりのことゞも、今わが歌の材たらむ 一〇―一二
あゝ善きアポルロよ、この最後の業のために願はくは我を汝の徳の器とし、汝の愛する桂をうくるにふさはしき者たらしめよ 一三―一五
今まではパルナーゾの一の巓にて足りしかど、今は二つながら求めて殘りの馬場に入らざるべからず 一六―一八
願はくは汝わが胸に入り、かつてマルシーアをその身の鞘より拔き出せる時のごとくに氣息を嘘け 一九―二一
あゝいと聖なる威力よ、汝我をたすけ、我をしてわが腦裏に捺されたる祝福の國の薄れし象を顯はさしめなば 二二―二四
汝はわが汝の愛る樹の下にゆきてその葉を冠となすを見む、詩題と汝、我にかく爲をえしむればなり 二五―二七
父よ、皇帝または詩人の譽のために摘まるゝことのいと罕なれば(人の思ひの罪と恥なり) 二八―三〇
ペネオの女の葉人をして己にかはかしむるときは、悦び多きデルフォの神に喜びを加へざることあらじ 三一―三三
それ小さき火花にも大いなる焔ともなふ、おそらくは我より後、我にまさる馨ありて祈ぎ、チルラの應をうるにいたらむ 三四―三六
世界の燈多くの異なる處より上りて人間にあらはるれども、四の圈相合して三の十字を成す處より 三七―三九
出づれば、その道まさり、その伴ふ星またまさる、而してその己が性に從ひて世の蝋を整へ象を捺すこといよ/\著し 四〇―四二
かしこを朝こゝを夕となしゝ日は殆どかゝる處よりいで、いまやかの半球みな白く、その他は黒かりき 四三―四五
この時我見しに、ベアトリーチェは左に向ひて目を日にとめたり、鷲だにもかくばかりこれを凝視しことあらじ 四六―四八
第二の光線常に第一のそれよりいでゝ再び昇る、そのさま歸るを願ふ異郷の客に異ならず 四九―五一
かくのごとく、彼の爲す所――目を傳ひてわが心の内に入りたる――よりわが爲す所いで、我は世の常を超えて目を日に注げり 五二―五四
元來人の住處として造られたりしところなれば、こゝにてはわれらの力に餘りつゝかしこにてはわれらが爲すをうること多し 五五―五七
わが目のこれに堪ふるをえしはたゞ些の間なりしも、そがあたかも火よりいづる熱鐡の如く火花をあたりに散すを見ざる程ならざりき 五八―六〇
しかして忽ち晝晝に加はり、さながらしかすることをうる者いま一の日輪にて天を飾れるごとく見えたり 六一―六三
ベアトリーチェはその目をひたすら永遠の輪にそゝぎて立ち、我はわ…

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