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プロレタリア童謡の活用に関する覚書
プロレタリアどうようのかつようにかんするおぼえがき
作品ID49076
副題――児童の指導者・保護者達に――
――じどうのしどうしゃ・ほごしゃたちに――
著者槙本 楠郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「赤い旗」 名著復刻 日本児童文学館 25、ほるぷ出版
1971(昭和46)年5月1日
初出「童話運動 第一卷第十二號」
入力者蒋龍
校正者染川隆俊
公開 / 更新2011-02-24 / 2014-09-21
長さの目安約 10 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

一、プロレタリア童謠は如何に活用され得る性質のものであるか?

 無論、「煽×、宣×、組織の言葉」を標語とするプロレタリア詩の一分化であるから、當然プロレタリア[#「プロレタリア」は底本では「プロレリタア」]童謠はプロレツト・カルトに役立つべきものである。しかし無論それは公式的、小兒病的に考へられてはならぬ。特に兒童を對象としての形象的表現による文化鬪爭乃至觀念鬪爭である塲合は。即ち「×の思想的政治的影響の確保、擴大」を直ちに×の掲ぐるスローガンの「國定教科書」風の解釋などゝ考へてはならぬ。斯るスローガン的アツピールをプロレタリア童謠に求めることは間違ひで、藝術に對する無理解の甚しきものである。即ち一句のスローガンを眞に兒童の心に植えつける爲には、吾々は幾十幾百の童謠を作り、それを讀ませ、歌はせ、聞かせなければならぬかわからないのである。然しその一面ではまた僅か數行、或は單に一行一句が直ちに×の掲ぐるスローガンに結合させ、即ち「×の思想的政治影響の確保、擴大」を結果づけるところの、「×動、×傳、組織の言葉」ともなり得るのである!
 私は曾て次の如く書いたことがある。
『兒童文學の眞の使命は飛躍的にプロレタリアートの政治的スローガンなどを直接解説することにあるのではなく、寧ろ斯るスローガンを生長と共に自然に抱懷せしめ、實現せしめざるを得ないまでに眞に根本的に彼等兒童をプロレタリアートの一員として成育せしめる事にこそあるのである。即ち大まかに云へば、第一期プロレツト・カルトの目標はプロレタリア××を完成せしめる爲の訓練であり教化であるが、兒童文學はそのアルフアベツトのA・B・C、オーケストラの大組織(これが當然×のスローガンともなつてゐるのだ)への音階ド・レ・ミ・フアを誤りなく教へる事にあるのである。而してその指導者は單なる語學者、音樂家であつてはならない事は、レーニンがハツキリ云つてゐる通りである。』
 右によつて、1・プロレタリア童謠は如何に活用され得る性質のものであるか? 2・プロレタリア童謠は如何に活用すべきものか? が大體明かになつたと思ふが、更に1をヨリ明確に、ヨリ具體的に示して觀よう。
 前述の第一期プロレツト・カルトの目的をヨリ積極的に達成せしめる爲には、當然吾々作家は廣汎な兒童大衆の生活環境、文化水準、年齡、性、等々を理解して、彼等の日常的乃至非常時に於けるカンパニヤに應じて多種、多樣の生々溌溂たる作品を生産するであらうが、これを我國今日までの一般の「童謠」に就て觀る時、大體次の如く分類され得ると思ふのである。
 A・取材上の分類――1天氣天象の唄。2動物植物の唄。3年中行事の唄。4人事上の唄。5遊戲唄。6子守唄。
 B・形式上の分類――1短いもの。2長いもの。3歌い易いもの。4歌い易からぬもの。5現代の子供の標準語を使つたもの。6方言、訛、古…

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