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のきばすずめ
のきばすずめ
作品ID49171
著者野口 雨情
文字遣い新字旧仮名
底本 「定本 野口雨情 第一巻」 未来社
1985(昭和60)年11月20日
初出金雀枝「雨情民謡百篇」新潮社、1924(大正13)年7月、青い芒(第4、5、6聯追加改作)「雨情民謡百篇」新潮社、1924(大正13)年7月、蜻蛉釣(初出誌未詳 再録)「婦人倶楽部」1926(大正15)年8月、下総のお吉「別後」交蘭社、1921(大正10)年2月、人形さんよ「令女界」1924(大正13)年11月、お艶(原題 わしの隣人)「都会と田園」銀座書房、1919(大正8)年6月、こんこん狐(原題 コンコン狐)「婦女界」1924(大正13)年12月
入力者川山隆
校正者noriko saito
公開 / 更新2010-05-07 / 2014-09-21
長さの目安約 4 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

金雀枝


金雀枝の
  花咲く頃は
ほととぎすが啼く ほととぎすが啼く

故郷の森の中にも
  もう 金雀枝の花咲く頃か
ほととぎすが啼く ほととぎすが啼く


青い芒


青いすすきに
   螢の虫は
 夜の細道 夜の細道 通て来る

細いすすきの姿が可愛ネ
細い姿にこがれた螢ネ

夏の短い
   夜は明け易や
 夜明け頃まで 夜明け頃まで 通て来る

夜明け頃なら
   ちらちらお星や
 夜明け星なら 夜明け星なら ちらちらと

通ちや来なされすすきの蔭にヨ
すすきア姿は細くて可愛ヨ

夏の一夜の
   仮寝の夢も
 寝ずに通へば 寝ずに通へば 夜は長い


蜻蛉釣り


烏ア帰るに
  日は暮れゆくに
 ササドンドン
  蜻蛉釣りでもしてるかよ

蜻蛉ア姉さん
  小松の蔭を
 ササドンドン
  連れ衆たづねて飛んで来る

連れ衆釣るなよ
  日は暮れゆくに
 ササドンドン
  暮れりや蜻蛉も松に寝る


軒端雀


軒端で雀の
    言ふことにや

窓から手紙を
    ちよいと投げりや

ちよいと見て袂に
    ちよいと入れた

アララのラ
    アララのラ

お母さんは知らない
    アララのラ

お父さんも知らない
    アララのラ


下総のお吉


去年別れた
   下総の
お吉は
   今も ゐるだろか

浮草の
   花かと聞けば
浮草の
   花だと泣いた

下総の
   お吉は
今も ゐるだろか

俺を待ち待ち
   下総に
嫁にゆかずに
   ゐるだろか


みなと


山が晴れば
  母やんよ 母やんよ
   アレサ港に 風が吹く

風は別れの
  母やんよ
   アレサわたしの袖に吹く

山が曇れば
  父やんよ 父やんよ
   アレサ港に 雨が降る

雨は涙の
  父やんよ
   アレサわたしの袖に降る


人形さんよ


七つ八つまで
赤い下駄はいた
    人形さんよ

 赤い下駄見りや
 思ひ出す

赤い鼻緒の
下駄はく頃にや
    人形さんよ

 わたしやお母さんと
 寝んねした

いつの間にやら
物恥かしい
    人形さんよ

 淡いあはれの
 夢もみる


水の流れ
   (続「船頭小唄」の一節)




俺もお前も
   ゆく末は
どうせ浮世の
   荒波に
辛や浮世の
   荒波は
泣いて渡らにや
   渡られぬ



水の流れも
   誰ゆゑに
同じ浮世の
   恋心
恋は短し
   吹くな風
わたしや涙で
   船を漕ぐ


夜明し千鳥


今宵忍ぶは
  恋ではないに サイサイ

千鳥ア宵から
  チロチロリンと啼きやる

寒や 河原の
  夜明し千鳥 サイサイ

わたしや恋路で
  ゆくぢやない

恋や恋路で
  忍んだ頃は サイサイ

赤い焔の
  火も吐いた


お艶


お艶…

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