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旅日記
たびにっき
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「山頭火全集 第七巻」 春陽堂書店
1987(昭和62)年5月25日
入力者小林繁雄
校正者仙酔ゑびす
公開 / 更新2009-10-28 / 2014-09-21
長さの目安約 69 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

年頭所感――
芭蕉は芭蕉、良寛は良寛である、芭蕉にならうとしても芭蕉にはなりきれないし、良寛の真似をしたところで初まらない。
私は私である、山頭火は山頭火である、芭蕉にならうとも思はないし、また、なれるものでもない、良寛でないものが良寛らしく装ふことは良寛を汚し、同時に自分を害ふ。
私は山頭火になりきればよろしいのである、自分を自分の自分として活かせば、それが私の道である。
       ×        ×        ×
歩く、飲む、作る、――これが山頭火の三つ物である。
山の中を歩く、――そこから私は身心の平静を与へられる。
酒を飲むよりも水を飲む、酒を飲まずにはゐられない私の現在ではあるが、酒を飲むやうに水を飲む、いや、水を飲むやうに酒を飲む、――かういふ境地でありたい。
作るとは無論、俳句を作るのである、そして随筆も書きたいのである。

 一月一日 二日 三日 四日 五日……岡山、稀也居。

夫、妻、子供六人、にぎやかだつた。
幸福な家庭。
たいへんお世話になつた。
あんまり寒いので、九州へひきかへして春を待つことにした。
竹原の小西さん夫婦、幸福であれ。
私は新らしい友人を恵まれた。

 二月一日 澄太居。

澄太君は大人である、澄太君らしい澄太君である。
私は友として澄太君を持つてゐることを喜び且つ誇る。
黙壺居。
黙壺君も有難い友である。
初めてお目にかゝつた小野さん夫婦に感謝する。
広島の盛り場で私は風呂敷を盗まれた。
日記、句帖、原稿――それは私にはかけがへのないものであり、泥坊には何でもないものである。
とにかく残念な事をした、この旅日記も書けなくなつた、旅の句も大方は覚えてゐない。
やつぱりぐうたらの罰である。
岡山から広島までの間で、玉島のF女史を訪ねたことも、忘れがたい旅のおもひでとならう。
円通寺、良寛和尚。
(二月)
奈良、桂子居。
(二月)
赤穂附近。

 二月十一日 十二日 十三日

今日から新らしく書き初める。――
雪、紀元節、建国祭。
黙壺居滞在。
第四句集雑草風景の句箋を書く。
こゝでまた改めて澄太君の温情に触れないではゐない。

 二月十四日

日本晴、出立。

 二月十六日 十七日

場末の安宿にて休養、いひかへると、孤独気分になりきるために。

 二月十八日

ぶら/\歩いて宮嶋まで、そこで泊つた。

 二月十九日 大霜、快晴。

生死去来は生死去来である。
大竹に泊る。

 二月二十日 二十一日 柳井津滞在。

この日、この身、この心。……

 二月廿二日

白船老を訪ねる、泊れといふのをふりきつて別れる。
雪、雪、酒、酒、泥、泥。

 二月廿三日

 宮市の安宿で感慨無量。

 二月廿四日 岔水居。

あゝ友はまことにありがたい。

 二月廿五日 曇つて寒い。

戸畑へ、多々桜君を訪ねる。

 二月廿六日…

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