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科学の不思議
かがくのふしぎ
著者
翻訳者伊藤 野枝 / 大杉 栄
文字遣い新字旧仮名
底本 「定本 伊藤野枝全集 第四巻 翻訳」 學藝書林
2000(平成12)年12月15日
入力者小林繁雄、門田裕志
校正者トレンドイースト
公開 / 更新2010-08-25 / 2014-09-21
長さの目安約 429 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

訳者から
 ポオル叔父さんは、本当に驚く程物識りです。どんな不思議な事の説明でも、分りやすく面白くしてくれます。ポオル叔父さんの解いてくれる世の中の不思議な謎は、何と云ふ巧妙さで、そして無雑作に出来てゐるのでせう。どんな事だつて、どんなつまらない事だつて、よく調べ、よく考へて見ると、驚く程意味を持つて生きて来ます。
 ポオル叔父さんの姪や甥達は、アムブロアジヌお婆あさんのお伽話には倦きてしまひましたが、ポオル叔父さんの本当の事についての話には倦く事を知りませんでした。おもちや遊びに夢中だつた一等小さいエミルでさへ叔父さんのお話がはじまつてからはおもちやを忘れてしまつた位です。何でも知りたくてたまらない、不思議な事ばかり目につく、兄さんのジユウルや、一番姉さんのクレエルは叔父さんのお蔭でどれだけ悧巧になり、注意深く物を観、またよく考へるようになつたかしれません。
 人間の眼につくもの、耳にするもの、何一つとして不思議でないものがありませう。不思議に思はないのは、無知に馴れてゐるからです。一度此の不思議な世界の本当の姿を知りはじめたら、此の世の姿は全くちがつたものになつて来るでせう。見るもの聞くもの一々生きて話しかけ、意味をもつて動き出すでせう。それはどれ程面白く、そして為めになるものを人間に示し、与へるでせう? そして又、人間の頭脳の働きと云ふものは、何んと云ふすばらしい発見をする事でせう? その発見はまた、多くの人間をどれ程幸福にするでせう?

 此の本の中には、子供達の眼にうつつたいろんな事、出遇つた様々な事件について、臨機応変に、ポオル叔父さんが子供達の為めにしたお話をすつかり書いたのです。叔父さんのお話は、もつと/\続きます。
『お前達の好きなだけいくらでもしてあげる。』
 と叔父さんは此の本の最後でお約束をしてゐます。叔父さんはその約束どほりにまだ、いろんな話をしてゐます。それはやはりみんな本になつて出てゐます。が此の本の中に納められただけの一とくぎりの中に、どれ程多くの自然界の謎がとかれてあるでせう? それは大ぜいのジユウルや、クレエルや、エミルのやうな子供達の為めになるばかりでなく、無知に馴らされて来た大人達をも、どんなにか驚かせる事だらうと私は思ひます。

 学問といふものは、学者といふいかめしい人達の研究室といふ処にばかり閉ぢこめておかれる筈のものではありません。誰れもかれも知らなければならないのです。今までの世間の習慣は、学問といふものをあんまり崇めすぎて、一般の人達から遠ざけてしまひすぎました。何の研究でも、その道の学者だけが知つてゐれば、他の者は知らなくてもいゝやうな風に極められてゐました。いや、知らなくてもいゝ、ではなくて、知る資格がないやうにきめられてゐました。けれども此の習慣は間ちがつてゐます。非常にこみ入つた六ヶしい研究は別とし…

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