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妖怪学
ようかいがく
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「井上円了 妖怪学全集 第6巻」 柏書房
2001(平成13)年6月5日
入力者門田裕志
校正者成宮佐知子
公開 / 更新2013-04-28 / 2014-09-16
長さの目安約 120 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

序言

 妖怪学は応用心理学の一部分として講述するものにして、これに「学」の字を付するも、決して一科完成せる学を義とするにあらず。ただ、妖怪の事実を収集して、これに心理学上の説明を与えんことを試むるに過ぎず。すなわち、心理学の学説を実際に応用して事実を説明し、もって心理考究の一助となすのみ。かくのごとく、妖怪の事実を考究説明して他日に至れば、あるいは一科独立の学となるも知るべからず。ゆえに、これを講述するは、哲学ならびに心理学研究に志ある者に、裨益するところあるは明らかなり。これ、余が妖怪学の講義を始むるゆえんなり。
 しかりしこうして、余、いまだ妖怪の事実を究め尽くしたるにあらず、今日なお事実捜索中なれば、各事実について、いちいち説明を与うることあたわず。ただ、余が従来研究中、二、三の事実につき説明を与えしもの、あるいは雑誌、あるいは新聞、あるいは諸小冊子中に参見せるあり。今これを集録し、その部類を分かち、さらにその後研究したる事実を増補し、左に「妖怪学講義」として掲載することとなれり。読者、よろしく心理学講義の一部分とみなすべし。
[#改ページ]

第一章 総論

 今、妖怪学を講述するに当たり、まずその意義を略解せざるべからず。余のいわゆる妖怪とは、いたって広き意味を有し、一切、妖怪不思議に属するものを総称するなり。およそ宇宙間の諸象の中に洋の東西を問わば、世の古今を論ぜず、普通の道理にて説明すべからず、一般の規則にて解釈すべからざるものあり。これを妖怪といい、あるいは不思議と称す。その種類、民間に存するものいくたあるを知らずといえども、これを大別すれば左の二種となる。
  ┌物理的妖怪
妖怪┤
  └心理的妖怪
 物理的妖怪とは、有形的物質の変化作用より生ずるものにして、心理的妖怪とは、無形的精神の変化作用より生ずるものをいう。
 今その一例を挙ぐれば、狐火、流星、不知火、蜃気楼、および京都下加茂社内へ移植する木はみな柊に変じ、尾州熱田に移養する鶏はみな牡鶏に化すというがごときは、物理的妖怪なり。これに反して、奇夢、神感、狐憑き、予言のごときは、心理的妖怪なり。もし、物理的妖怪の種類についてこれを分かてば、左の数種となるべし。
     ┌物理学的妖怪(すなわち物理学の説明を要するもの)
     │化学的妖怪(すなわち化学の説明を要するもの)
     │天文学的妖怪(彗星、流星のごとき天文に属するもの)
物理的妖怪┤
     │地質学的妖怪(化石、結晶石のごとき地質に属するもの)
     │動物学的妖怪(熱田の鶏の類)
     └植物学的妖怪(下加茂の柊の類)
 その他、人身の構造、機能上に関する妖怪は生理学に属する等の類、なお種々あるべし。つぎに、心理的妖怪にも、その種類はなはだ多し。これを分類するに、事実の上に考うる法と、これを説明する…

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