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妖怪学一斑
ようかいがくいっぱん
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「井上円了 妖怪学全集 第6巻」 柏書房
2001(平成13)年6月5日
入力者門田裕志
校正者Juki
公開 / 更新2011-02-03 / 2014-09-21
長さの目安約 24 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 私は七、八年前より妖怪のことを研究しておりまして、今日のところでは、いまだ十分に研究し尽くしたわけではありませんがその研究中であって、いろいろその事実を収集しております。果たしてこれが何年の後に成功するか分かりませんが、どうぞしてこれだけの事実を集めた上で、一つの学科として研究したいという私の精神であります。このことは、今日この教育社の記念会の席でお話しするのは、少し不適当かと思いましたが、しかし、学術上において研究する上には、教育に最も密接なる関係を有するものでありまするから、今日は、かく教育に熱心なる諸君が御集会の席で、教育の点から、その一斑をお話しいたす考えでござります。(謹聴)
 私がこれを研究し始めまして以来、諸方から続々、妖怪事実を御報道にあずかりまして、すでに今日まで集まっておるのが五、六百ないし七、八百に達しておりまして、本箱の中は報道をもって充満しております。これは誠に私の望むところで、図らずもかくのごとく多くの事実が集まったのは、私にとっては誠に幸福と思っておることでござります。が、その報告を調べてみまするというと、私が考えておることと、ある部分においては実によく一致しておりますが、また、ある部分においては、私の考えとどうも合っておらんと思うこともあります。妖怪学のことについては、私が他日これを研究し尽くした後にお話しいたすつもりでありますから、今日までいろいろ人から要求を受けたこともありましたけれども、いまだまとめて話したことはありません。よって、今日も全体について話はいたしませぬけれども、これまでの報告と私の考えたこととが相違しておるところをお話し申して、今後御報道にあずかるについて御注意を願います。
 世間にては、妖怪と申すとその字から想像を下して、単におばけか幽霊のようなものに限るごとく考え、あるいは狐狸の所為に関係した事実ばかりのように考えておりまする。それゆえに、これまで諸方から参るところの御報道を調べてみまするというと、十中八九はこれらの事実のみで、いずれを見ても、みな似たり寄ったりのものであります。要するに、その区域が狭隘であるから同一の事実がたくさんありますが、その割合に実際これを研究する材料に乏しいのは、遺憾の次第でござります。もとより、幽霊とかおばけとかいうものも妖怪の一部分には相違ありませんが、今日世界の妖怪は、なかなかこのくらいなことにとどまりません。私は、これを総じて研究いたしたいという考えであります。今日は妖怪学総体についてはお話しすることはできませんが、ただその一部分を取ってお話し申して、これらのことも妖怪であるから、もしこの事実について諸君が御記憶になったならば、御報道を得たいと思います。それはなんであるかと申しますると、すなわち偶合論、また一つに偶中とも申します、偶然に暗合することであります。私は近来…

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