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迷信解
めいしんかい
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「井上円了 妖怪学全集 第4巻」 柏書房
2000(平成12)年3月20日
入力者門田裕志
校正者仙酔ゑびす
公開 / 更新2010-08-13 / 2014-09-21
長さの目安約 98 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

緒言


 今般文部省にて編纂せられたる『国定小学修身書』を一読するに、その中に迷信の課題ありて、懇切に迷信に関する注意を与えられしも、その文簡短にして、小学児童の了解し難きところなきにあらず。よって余は『修身書』にもとづき、その中に指示せられたる各項を敷衍詳解して、小学および家庭における児童をして、一読たちまち各種の妖怪を解し、迷信を悟らしむるの目的をもって、本書を講述したり。もしその参考には、『妖怪早わかり』『妖怪百談』『妖怪学講義』『妖怪学雑誌』『妖怪叢書』等を見るべし。

  明治三十七年七月
講述者誌
[#改ページ]

迷信解


第一段 緒論
『国定小学修身書』を案ずるに、尋常小学第四年級用第十五課に「迷信を避けよ」との一課あり、また、高等小学第二年級用第六課に「迷信」の一課ありて、その課の目的は迷信の避くべきことを知らしむるにありと書いてある。されば、学校における児童はいうに及ばず、家庭においてもよくこの心得を守りて、児童に迷信の信ずるに足らぬことをよく教え込んでおかねばならぬ。よって、余は多年このことを研究したりし廉をもって、『修身書』に示されたる迷信の箇条を詳細に解釈し、多くの人に分かりやすきように説き明かしておきたいと思う。
 尋常の『修身書』に出ておる、武士が瓢箪を切りたる話は、『珍奇物語』と題する書中に出ておる。また、祈祷者が神酒徳利に鰍をいれたる話は、『閑際筆記』に見えておる。多分その当時、民間にて評判されし出来事であろう。また、高等の『修身書』に出でたる徳川家康が西方に向かって出陣せし話は、『草茅危言』に書いてある。藤井懶斎が凶宅に住せし話は『先哲叢談』にあるも、その源は『閑際筆記』より引用したるものである。いずれも迷信を人に諭すに、最も分かりやすく、かつ興味ある話である。
 尋常の『修身書』の注意のもとに、「迷信は地方によりて種々雑多にて、四国地方の犬神のごとき、出雲地方の人狐のごとき、信濃地方のオサキのごときは、特にその著しきものなり」とあるが、実にそのとおり、地方の異なるに従い、おのおの特殊の妖怪を持っておる。しかして、その弊害は最もはなはだしい。まず、四国の名物ともいうべきは犬神にして、出雲の名物は人狐であるが、その名は異なれども、その実は同じようなものじゃ。この人狐のことを、あるいは狐持ちとも申す。また、芸州辺りにてトウビョウというものがある。あるいはこれは蛇持ちともいう。石見にては土瓶とも申すということじゃ。備前、備後にては、猫神、猿神と名づくるものがあるそうだ。これらはみな類似のものに違いない。民間に伝われる書物に『人狐弁惑談』と申すものがある。その中には、「雲州にて人狐のことを、あるいは山ミサキ、藪イタチまたは小イタチと呼ぶものあり。九州には河太郎というものあり。四国には猿神というものあり。備前には犬神というものあ…

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