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箕輪の心中
みのわのしんじゅう
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「修禅寺物語 正雪の二代目 他四篇」 岩波文庫、岩波書店
1952(昭和27)年11月25日
初出「明治座」1911(明治44)年9月初演
入力者川山隆
校正者門田裕志
公開 / 更新2011-05-20 / 2014-09-16
長さの目安約 56 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

登場人物

藤枝外記
外記の妹お縫
吉田五郎三郎
用人堀部三左衞門
中間角助
菩提寺の僧
百姓十吉
十吉の母お時
村のむすめお米
大菱屋綾衣
新造綾鶴
若い者喜介
ほかに花見の男女 茶屋娘 眼かづら賣
小坊主 若侍 水屋 燈籠屋 新内語
廓の者 盆唄の娘子供など
[#改ページ]

第一幕


第一場

向島の木母寺。平舞臺の下手へよせて、藁ぶき屋根の茶店あり。軒にあづま屋といふ行燈をかけ、門口に木振よき柳の立木あり。よきところに床几二脚ほどならべてあり。所々に櫻の立木、花盛りの體なり。正面には木母寺の境内を見る。

(熊藏、半次、職人のこしらへにて、眼かづらをかけて、酒樽を持ち、ほかに娘三人、おなじく花見のこしらへにて、いづれも茶店の床几に腰をかけてゐる。外にも花見の男女大ぜい、思ひ/\のこしらへにて立ちかかりゐる。天明五年三月十五日、梅若の供養にて双盤念佛の音きこゆ。)
熊藏  おい、おい。姐さん。茶でも湯でも早くたのむぜ。醉醒めのせゐか、喉が渇いてならねえ。
半次  ほんたうにこゝらは田舍だぜ。花時にやあ些と氣の利いたのを置けばいゝのに……。おい、おい、姐さん。大急ぎだよ。
茶屋女 はい。はい。
(茶店の中より茶屋女二人は赤い襷をかけ、土瓶、茶碗、さくら餅など盆にのせて持ち出づ。)
女甲  どうもこみ合つて居りますもんですから、つい/\遲くなりました。
女乙  まあ、ゆつくりとお休みなすつて下さいまし。
熊藏  あんまりゆつくりしてゐると、日が暮れてしまはあ。なあ、半次。
半次  ひと休みしたら、早く梅若へおまゐりをして來よう。
(みな/\捨臺詞にて茶を飮む。奧にて双盤の音きこゆ。花見の男女は奧を見る。)
男 それ、お念佛がはじまるぜ。
女 早く行きませうよ。
(男女大ぜいはわや/\云ひながら境内に入る。)
娘一  もうお念佛が始まると云ふから、わたし達も早く行かうぢやありませんか。
熊藏  違えねえ。どれ、出かけべえか。おい、姐さん。お茶代はこゝへ置くよ。
女甲  毎度ありがたうございます。
(熊藏と半次は立たんとしてよろ/\する。)
娘一  あれ、あぶない。
娘二  お前さん達は醉つてゐるから氣をつけないと、池へおつこちるよ。
半次  おつこちる時にやあお前を抱いて一緒に心中だ。あはゝゝゝゝゝ。
熊藏  こんなものは邪魔でいけねえ。おい、誰か持つてくんねえか。(樽を出す。)
娘三  だつて、こりやあもう空ぢやあないか。
熊藏  空でもなんでも、これをさげてゐなくつちやお花見らしくねえや。ついでにこんなものも其方へ渡さう。
(熊藏は眼かづらを取る。娘三はうけ取りて眼かづらをかけ、空樽をさげる。)
半次  おれもこんなものは鬱陶しくていけねえ。(眼かづらを取る。)兜も錣も何つちもいらねえ。みんなそつちへお渡し申すぜ。
(半次も眼かづらと樽を出す。娘一は眼…

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