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孔子
こうし
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「孔子」 岩波文庫、岩波書店
1988(昭和63)年12月16日
入力者門田裕志
校正者米田
公開 / 更新2012-08-02 / 2014-09-16
長さの目安約 150 ページ(500字/頁で計算)
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本文より



 自分には孔子について書くだけの研究も素養も準備もない。その自分を無理にしいてこの書を書くに至らしめたのは小林勇君である。が、書いてしまった以上は、この書の責任は自分が負うほかはない。自分は甘んじて俎上に横たわろうと思う。
 右のような次第であるから、この書には自分の気づかぬいろいろな誤謬があるかも知れぬ。が、自分が志したのは、いまだ孔子に触れたことのない人に『論語』を熟読玩味してみようという気持ちを起こさせることであった。それが成功しなければ、『論語』をいまだ読まない人が依然としてそれを読まないというだけのことであり、幸いにして成功しても、あとには専門家の注釈や研究が数え切れないほどあるのであるから、自分の誤謬が人を誤ることもなかろうと思われる。と言って、すでに『論語』を知っている人にはこの書は全然用がないというわけでもない。そういう人にも他山の石としてはいくらか役立つであろう。
 この書において用いた『論語』は、武内義雄氏校訂訳注の岩波文庫本である。この『論語』の本文と日本訳とは専門家の間に必ずしも賛同しない人があるようであるが、しかし自分はいろいろ比較研究の上、これを最もよい『論語』のテキストだと考えたのである。引用文もすべて武内氏の日本訳によった。武内氏が加えられた注釈もそのままにしてある。なお他に、藤原正氏纂訳『孔子全集』からもいろいろ益を得た。この『全集』は藤原氏苦心の労作だけあって非常に便利にできている。いっこう素養のない自分にとにかくこれだけのものが書けたのは両氏のおかげである。
昭和十三年八月
著者
[#改ページ]

再版序

 今度岩波書店の諒解を得て、少しく増補の上、植村道治君の手により再版をおこすことになった。増補は巻末の付録のはじめに述べたように武内博士の『論語之研究』に関するものである。
昭和二十三年三月
著者
[#改ページ]


一 人類の教師

 釈迦、孔子、ソクラテス、イエスの四人をあげて世界の四聖と呼ぶことは、だいぶ前から行なわれている。たぶん明治時代の我が国の学者が言い出したことであろうと思うが、その考証はここでは必要でない。とにかくこの四聖という考えには、西洋にのみ偏らずに世界の文化を広く見渡すという態度が含まれている。インド文化を釈迦で、シナ文化を孔子で、ギリシア文化をソクラテスで、またヨーロッパを征服したユダヤ文化をイエスで代表させ、そうしてこれらに等しく高い価値を認めようというのである。ではどうしてこれらの人物が、それぞれの大きい文化潮流を代表し得るのであろうか。どの文化潮流も非常に豊富な内容を持っているのであって、一人の人物が代表し得るような単純なものではないはずである。しかも人がこれらの人物をそれぞれの文化潮流の代表者として選び、そうしてまた他の人々がそれを適切として感ずるのは、何によるのであろうか。自…

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