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自然と人
しぜんとひと
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「有島武郎全集第八卷」 筑摩書房
1980(昭和55)年10月20日
初出「文化生活 第一卷第三號(八月號)」1921(大正10)年8月1日
入力者mono
校正者田中敬三
公開 / 更新2009-12-04 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




 人は自然を美しいといふ。然しそれよりも自然は美しい。人は自然を荘厳だといふ。然しそれよりも自然は荘厳だ。如何なる人が味到し色読したよりも以上に自然は美しく荘厳だ。議論としてそれを拒む人はあるかも知れないが、何等かの機会に於てそれを感じない人はない。
 その時或人はかくばかり自然が美しく荘厳であるのにどうして人間はかくばかり醜く卑劣なのだと歎じ、そこに人類の救ひ得べからざる堕落を痛感するだらう。或人はかくばかり美しく荘厳な自然の伴侶となるために、人類には如何に希望多き悠久な未来が残されてゐるかを痛感するだらう。而してそこに深い喜悦と勇気とを湧き立たせるだらう。
 老いるものは前の立場に立ち、若き者は後の立場に立つ。而して私は若き者であり、若き者の道伴れでありたい。
(『文化生活』大正十年八月)



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