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遠友夜学校校歌
えんゆうやがっこうこうか
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「有島武郎全集第一巻」 筑摩書房
1980(昭和55)年8月30日
入力者mono
校正者染川隆俊
公開 / 更新2010-04-04 / 2014-09-21
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




    一

沢なすこの世の楽しみの
  楽しき極みは何なるぞ
北斗を支ふる富を得て
  黄金を数へん其時か
オー 否 否 否
  楽しき極みはなほあらん。

    二

剣はきらめき弾はとび
  かばねは山なし血は流る
戦のちまたのいさほしを
  我身にあつめし其時か
オー 否 否 否
  楽しき極みはなほあらん。

    三

黄金をちりばめ玉をしく
  高どのうてなはまばゆきに
のぼりて貴き位やま
  世にうらやまれん其時か
オー 否 否 否
  楽しき極みはなほあらん。

    四

楽しき極みはくれはどり
  あやめもたへなる衣手か
やしほ味よきうま酒か
  柱ふとしき家くらか
オー 否 否 否
  楽しき極みはなほあらん。

    五

正義と善とに身をさゝげ
  欲をば捨てて一すぢに
行くべき路を勇ましく
  真心のまゝに進みなば
アー 是れ 是れ 是れ
  是れこそ楽しき極みなれ。

    六

日毎の業にいそしみて
  心にさそふる雲もなく
昔の聖 今の大人
  友とぞなしていそしまば
アー 是れ 是れ 是れ
  是れこそ楽しき極みなれ。

    七

楽しからずや天の原
  そら照る星のさやけさに
月の光の貴さに
  心をさらすその時の
アー 是れ 是れ 是れ
  是れこそ楽しき極みなれ。

    八

そしらばそしれつゞれせし
  衣をきるともゆがみせし
家にすむとも心根の
  天にも地にも恥ぢざれば
アー 是れ 是れ 是れ
  是れこそ楽しき極みなれ。

    九

衣もやがて破るべし
  ゑひぬる程もつかの間よ
朽ちせでやまじ家倉も
  唯我心かはらめや
アー 是れ 是れ 是れ
  是れこそ楽しき極みなれ。



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