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青年に訴う
せいねんにうったう
原題AUX JEUNES GENS
著者
翻訳者大杉 栄
文字遣い新字新仮名
底本 「大杉栄・伊藤野枝選集第1巻 クロポトキン研究」 黒色戦線社
1986(昭和61)年6月1日
入力者クロポトキン・プロジェクト
校正者浜坂邦彦
公開 / 更新2014-08-01 / 2014-09-16
長さの目安約 41 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

『青年に訴う』は、クロポトキン自身も言っているごとく、クロのもっともお得意のものだ。そして二十余りの諸外国語に翻訳されて、クロの著作の中でももっとも広く読まれている。
 僕はかつてそれを、もう十三、四年前のことだが、『日刊平民新聞』に訳載した。そしてその最後の一章のために、秩序紊乱という名の下に、二た月か三月牢に入れられた。
 その留守中に、クロから故幸徳に手紙が来て、「自分の著書の中でももっともモデレェトな(温健な)あんなもののために、その自由を犠牲にした若い同志に」云々とあった。
 その後三、四年して、僕の翻訳はアメリカにいる同志の団体の社会革命党から出版され、その幾百部かは日本にもはいって来た。
 こんどはそれを全部書きかえたのだ。
 週刊『労働運動』に連載した時には、ほとんど無事であったのだが、一まとめにするとなると無残にやられてしまった。
 仕方がない。あきらめられぬとあきらめるんだ。
大杉栄



 私がいま話そうとするのは青年諸君にだ。だから老人ども――勿論それは頭と心との老人ども――は、こんな本はうっちゃって、無駄に眼を疲らすようなことはしないがいい。
 私は諸君を、十八歳か二十歳かに近いものとし、徒弟もしくは学業を終えて、今やまさに実生活にはいろうとするものと仮定する。世間がしきりに諸君に注入しようとした、いろんな迷信から脱け出た頭を持っているものとする。悪魔などを恐れないものとする。牧師どもの長ったらしい御説法などを聞きに行かないものとする。さらにまた、頽廃しかかった社会の悲しむべき産物であるところの、猿のような顔をして短かいズボンをはいて歩道を練って行くところの、そしてまたこんな年齢で、すでに何事をおいてもの快楽の情慾しか持たないところの、かののらくら息子ではないとする。それとは反対に、私は、諸君をごく真面目な心を持っているものとする。そして、それだから私は諸君に話しかけるのだ。
 私は諸君の前に横たわっている第一の問題を知っている。「俺は何になるんだろう。」諸君は幾度かこう自問したことであろう。実際、若い時にはみんなよく分っている。数年の間――しかもそれは社会の出費の下に、このことはよく注意しておくがいい――ある職業またはある科学を研究して来たのは、それによって自分を掠奪の機械にしようがためでないと。されば、他日自分の知力や才能を、今日貧窮と無知との中にうごめいている人達の解放を助けることに充てよう、という理想を少しも持たないのは、よほど堕落した、よほど悪徳に腐敗されたものでなければならない。
 諸君はそういう理想を持ったに違いない。しからば、諸君、諸君はその理想が現実となるために何をしようとするか。
 私は諸君がどんな身分の下に生れたか知らない。しかし、たぶん、運命に可愛がられて、科学の研究をして、医者なり弁護士なりあるいは学者な…

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