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食道楽
しょくどうらく
副題秋の巻
あきのまき
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「食道楽(下)」 岩波文庫、岩波書店
2005(平成17)年8月19日
初出「報知新聞」 1903(明治36)年7月2日~10月3日
入力者砂場清隆
校正者川山隆
公開 / 更新2011-06-13 / 2014-09-16
長さの目安約 337 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

[#ページの左右中央]


秋の巻



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[#挿絵]
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○天長節夜会食卓の真景(口絵参照)

 巻頭の口絵は明治三十六年十一月三日帝国ホテルに開かれし天長節夜会の食卓を写せしなり。食堂は二十間に八間の長方形にて周囲は紅葉流しの幔幕を張詰め、天井には牡丹形の紅黄白色常盤の緑を点綴す。中央の太き柱は薬玉および小旗を以って飾られ、無数の電灯は四方に輝きて目映きばかり。当夜の料理は前壁に対せし一列の食卓に配置さる。有名なる夜会の事とて一千有余名の来賓に充つるその献立の如何に按配され、厨人の如何に苦心せしやは料理法に重きを置かるる者の等しく知らんと欲する処ならん。今その概要を説明せんに第一は生蠣および魚卵(ウィトル、カビヤ)の料理にて生蠣はレモンの汁を湛え、カビヤは魯西亜産鱒魚の卵の製したるものなり。第二は冷製魚肉玉子掛汁および寒天寄物(マヨナイズ ド サモン、アンギール ア ラ ゼリー)にて冷製魚肉玉子掛汁は鮭の冷肉に玉子の黄身にて作りたる掛汁を添え寄物は鰻の肉をゼリーにて寄せしものなり。第三の料理は雁肝冷製寄物(アスピック ド ホアグラ ド ストランボルダ)といい雁の肝をゼリーにて寄せたるもの。第四は豚肉冷製寄物(ジャボン デコレ ア ラ ジェリー バアンド フルツ アッソルチ)にしてハムを寄せしもの。第五は冷製混肉および冷製饂飩粉入鳥肉(パテ ド ジビィ、ガランチン ド ワライ)とて混肉は軍鶏の肉へ豚の肉を砕きて詰めしもの。饂飩粉入鳥肉は雉子の肉を用いたるなり。第六の松露入冷製鴫肉(ベカシン トリッフェ)は仏蘭西松露を砕きて鴫の腹へ詰め、第七の海老および混菜入洋菜(サラダアラルース、サラダ ド オマー)は野菜類および海老を用い、第八の氷酒(ポンチ、ロヤル)は酒を氷結せしめしもの、第九の牛酪製菓子および玉子入製菓(バボロア ア ラ シャンテー、プウダン アラ デプロマ)は牛乳の寄物にて玉子入製菓は菓物を包みたり。第十は三鞭入寒天寄冷菓(ジェリー オー フリイ ア ラ シャンペン)にてゼリーに三鞭の入りし菓子。第十一の牛酪製氷菓(ムース オー フレイズ)は菓物入の菓子なり。第十二の挽茶および香入氷菓(グラス オー テイ、グラス ア ラ ワニー)は挽茶および香料入のアイスクリーム。第十三の果実製菓(ガドー エ フルツ)は水菓子と干菓子なり。これらの料理はいずれも精選せし佳品を以て調理せられたれば味の美なること内外に誇るに足らん。会食の時間となれば賓客は三々伍々幾多の卓に倚って祝杯を挙げ二十余名の給仕人燕尾服にて食卓の間を周旋す。名にし負う一年一度の夜会主客陶然として歓声場裏に和気の洋々たる事春の如し。
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第百八十二 交際法

 結婚問題は今の世の人がともに心を悩ます所、男子も悩み、女子も悩み、父兄親戚に至るまで皆なこの…

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