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王さまの感心された話
おうさまのかんしんされたはなし
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「定本小川未明童話全集 1」 講談社
1976(昭和51)年11月10日
初出「まなびの友」1920(大正9)年12月
入力者特定非営利活動法人はるかぜ
校正者江村秀之
公開 / 更新2013-10-20 / 2014-09-16
長さの目安約 7 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 この世界が造られましたときに、三人の美しい天使がありました。いちばん上の姉さんは、やさしい、さびしい口数の少ない方で、そのつぎの妹は、まことに麗しい、目の大きいぱっちりとした方で、末の弟は快活な正直な少年でありました。
 みんなは、それぞれこの世界が造られるはじめてのことでありますので、なにかに姿を変えなければなりませんでした。
「よく考えて、自分のなりたいと思うものになるがいい。けれど、一度姿を変えてしまったなら、永久に、ふたたびもとのような天使にはなれないのだから、よく考えてなるがいい。」と、神さまは申されました。
 三人の姉と妹と弟は、それぞれ、なにになったらいいだろうと考えました。姿を変えてしまえば、もういままでのように、三人は仲よくいっしょにいて話をすることもできなければ、また、顔を見ることもできないと思います。三人は、それが悲しくてなりませんでした。
 気の弱い妹は、目にいっぱい涙をためてうつむいていました。すると、気高い、さびしい姉は、やさしく妹をなぐさめて、
「たとえ、遠く離れることがあっても、わたしたちは、毎晩顔を見合うことができれば、それで満足するであろう。」といいました。
 いよいよ三人の決心はつきました。そうして、神さまから、おまえたちは、なにになるかと問われましたときに、
 いちばん上の気高い姿の姉は、
「私は、星になります。」と申しました。
 つぎの妹は、
「私は、花になります。」と申しました。
 そうして、末の弟は、
「私は、小鳥になります。」と申しあげました。
 神さまは、いちいちそれを聞いて、お許しになりました。こうして、三人は、ついに、星と花と小鳥になってしまったのです。
 星は夜ごとに空に輝きましたけれど、幾百万里となく遠く地の上から隔たってしまって、もはや言葉を交わすこともできなくなりました。それでも花は、夜ごとに空を向いて、星から降ってくる露を身に受けました。小鳥となってしまった弟は、昼間は、すぐの姉の花のそばへいって遊び、さえずっていましたけれど、いちばん上の姉の姿を見ることができませんでした。それですから、星が暁とともに隠れてしまう前に大急ぎで起きて、空に輝いている、さびしい姉の姿を見上げることもありました。
 なんで、この三人の天使は、いままでのように、いっしょにいて楽しく暮らすように考えなかったでしょうか?
 それから、幾世紀はたちました。やがてこの地上をつかさどられた王さまがあります。
 王さまは、いたって勤勉な方でありましたから、太陽が出ると働き、そうして、日の暮れるまで働いて、暗くなったときに休むような勤勉なものが、なんでも好きでありました。たとえば、ありをごらんになると、
「ああ、ありは感心なものだ。」と思われました。
 また、みつばちをごらんになると、
「ああ、みつばちは感心なものだ。」と思われま…

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