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コキューの憶ひ出
コキューのおもいで
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「中原中也詩集」 角川文庫、角川書店
1968(昭和43)年12月10日改版
入力者ゆうき
校正者木浦
公開 / 更新2013-04-04 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


その夜私は、コンテで以て自我像を画いた
風の吹いてるお会式の夜でした

打叩く太鼓の音は風に消え、
私の机の上ばかり、あかあかと明り、

女はどこで、何を話してゐたかは知る由もない
私の肖顔は、コンテに汚れ、

その上に雨でもバラつかうものなら、
まこと傑作な自我像は浮び、

軌りゆく、終夜電車は、
悲しみの余裕を奪ひ、

あかあかと、あかあかと私の画用紙の上は、
けれども悲しい私の肖顔が浮んでた。



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© 2017 Sato Kazuhiko