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手紙
てがみ
副題009 文久三年六月十六日 池内蔵太の母あて
009 ぶんきゅうさんねんろくがつじゅうろくにち いけくらたのははあて
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「龍馬の手紙、宮地佐一郎」 講談社学術文庫、講談社
2003(平成15)年12月10日
入力者Yanajin33
校正者Hanren
公開 / 更新2010-08-06 / 2014-09-21
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


いさゝか御心をやすめんとて、
六月十六日に
認候文。       直陰
龍馬よりも申上候。扨、蔵が一件ハ今 朝廷のおぼしめしもつらぬかず、土州を初メ諸藩のとの様がた皆[#挿絵]国にかへり、蔵が心中にハ思よふ土州など世の中のあまりむつかしくなき時ハ、土佐のとの様を初、江戸でも京でも唯へら/\と国家をうれへるの、すべつたのとやかましくいゝひろき、当今に至りていよ/\むつかしく相成てハ国本を見つくろふとか、なんとか名をつけにげて行、このごろ将軍さへ江戸へかへり候よふのつがふとなり、実に此  神州と申義理も勢もなく、今上様をいづくの地へおくやらさらにがてんゆかず、実にはづべきことなり。此かずならぬ我[#挿絵]なりと、何とぞして今上様の御心をやすめたてまつらんとの事、御案内の通り朝廷というものハ国よりも父母よりも大事にせんならんというハきまりものなり。
御親るいを初メ杉山さんなども、を国を後にし父母を見すて、妻子を見すてするハ大義にあたらずとの御事ならん。それハ/\実当時のヘボクレ役人や、あるいハムチヤクチヤをやぢの我国ヒイキ我家ヒイキにて、男子とし(て)の咄にあらず。おまへがたを初、蔵がをくさんたちも長刀などふりくり廻しながら、ヘボクレ義論にどふいしてメソ/\なきだしなどしてハ、実に蔵をはづかしめ候。龍ハ当時ハ病気にてけしてきづかハしき事なけれども、文などしたゝめ候ハ、誠にいやなれども鳥渡御咄申上候。
此次にハ私があねにも文をやり申候。このごろまことにめづらしき咄しが、たくさんあり申候。弘井岩之助のかたきうち○二条殿内の人にて、宮中[#「宮中」の左に「みやつかへ」のルビ]につかハれこれありしむすめ、実に義のあるむすめにて、今でハ身をくがいにしづめこれある事。○龍がある山中にて女が人にすてられてまよいいたるを、金をあたへ老人をもつておくりつかハしたる事など、其外色[#挿絵]御咄後より申上候。
龍拝
池蔵尊母



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