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手紙
てがみ
副題026 慶応二年一月二十日 池内蔵太家族あて
026 けいおうにねんいちがつはつか いけくらたかぞくあて
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「龍馬の手紙、宮地佐一郎」 講談社学術文庫、講談社
2003(平成15)年12月10日
入力者Yanajin33
校正者Hanren
公開 / 更新2010-08-18 / 2014-09-21
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


池御一同
杉御一同
先日大坂ニい申候時ハ、誠に久しぶりにかぜ引もふし薬六ふく計ものみたれバ、ゆへなくなをり申候。夫が京に参り居候所、又[#挿絵]昨夜よりねつありて今夜ねられ不レ申、ふとあとさきおもいめぐらし候うち、私し出足のせつは皆々様ニも誠に御きづかいかけ候計と存じ、此ごろハ杉やのをばあさんハどのよふニなされてをるろふとも思ひ定而、池のをなんハいもばたけをいのししがほりかへしたよふな、あとも先もなき議論を、あねなどとこふじより、あせたしいうさるほねおりばなし、よめもともどもつバのみこみ、きくみゝたらずとふたつのみゝほぜくりあけてぞ、きかるべしなん。ある老人論じていう、女というものハ人にもよるけれど、高のしれたをんなめ、かの坂本のをとめとやら、わるたくみをしそふなやつ、あまり/\たらわぬちゑでいらざる事までろんじよると、すこしでもものしる人になれなれしくしたく、そふするうちになにとなく女の別もただしからぬよふニなりやすいものじや。なにぞききたくなると、男の方へたずねありくよふになり、かふいうとそのやミタ、思ひあたる人があるろふ。かの女れつじよでんなど見ると、誠に男女の別というものハたゞしい。男の心ニハ女よりハべして女がこひしい事もあるが、あの年わかい蔵太の玉のよふなるをよめごを、なにぞふるきわらぢのよふ思ひきりて、他国へでるも天下の為と思へバこそ、議理となさけハ引にひかれず、又[#挿絵]こんども海軍の修行、海軍のというハおふけなおふねをのりまはし、砲をうつたり、人きりたり、それハ/\おそろしい義理というものあれバこそ、ひとりのをやをうちにをき、玉のよふなる妻ふりすて、ひきのよふなるあかごのできたに、夫さへ見ずとおけいとハ、いさましかりける次第なり、かしこ。
正月廿日

杉 御一同
池 御一同
あねにも御見せ。



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