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はつゆめ
はつゆめ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「定本小川未明童話全集 16」 講談社
1978(昭和53)年2月10日
入力者特定非営利活動法人はるかぜ
校正者Juki
公開 / 更新2012-09-28 / 2014-09-16
長さの目安約 5 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 正ちゃんは まだ ふとい バットを ふれなかったので、きょねんは おうえんだんちょうに なりました。正ちゃんは はやく せんしゅに なりたかったのです。
 きょうは ことしの はつしあいでした。正ちゃんは ほけつで きて いると、あいての 西校の せんしゅたちは、ほんとうに よく うちました。いくら こちらが、がんばっても、なかなか おいつきません。この まま すすめば 二てんの さで、こちらの まけと なります。九かいの うら、やっと 二死まんるいに こぎつけました。ここで ヒットが 一つ でれば、どうてんと なるのです。
「だれを だそうか。」
と、東校の せんしゅたちは そうだんを しました。
「正ちゃん、きみは あてると、いい たまを だすから、やって ごらん。」
と いいました。
 正ちゃんは この ときと おもいました。ふとい バットを もって でました。みて いる ものが、みんな あせを にぎりました。
「正ちゃん、しっかり おやりなさい。」
と いったのは、とめ子さんです。
 正ちゃんは、かおを まっかに して、力いっぱい バットを ふりました。カンと 音が すると、すごい あたりでした。
「ヒット、ヒット。」
と、いう こえが おこりました。つづいて、
「ホームラン、ホームラン。」
と、いう こえが おこりました。たまは ぐんぐん のびて、はらっぱの くさむらの 中に おちたのです。
「正ちゃん、えらいなあ。」
 東校は、ついに 一てん かちこして、西校を やぶりました。
「えらいね、正ちゃん。」
と、とめ子さんが よろこんで くれました。
「正ちゃん、きみは こんどから、三るいしゅに なりたまえ。」
と、きまりました。みんなは きょうの しゅくんしゃ 正ちゃんを いわって、手を パチパチと たたきました。
「正ちゃん、たこをかいに いっしょに いかない。」
と、武ちゃんが いったので、町へ いっしょに いくと、初荷の 車が やって きました。こめだわらの 上に、だいこくさまを かざって、青や 赤の ふうせんだまが いくつも ついて いました。とおりすぎる ときに、車の 上に たって いる 人が、
「ばんざい。」
と、手を あげました。
 正ちゃんも 武ちゃんも、
「ばんざい。」
と いって、手を あげました。
 ばんに、武ちゃんの おうちへ、かるたを とりに いく おやくそくを して わかれました。
 くると、とめ子さんが 目に なみだを ためて いました。
「どう したんだい。」
と、正ちゃんは ききました。
「おはじき して、みんな とられて しまったの。」
と、とめ子さんが いいました。
「だれに とられたの。」
と、正ちゃんは ききました。
「しげ子さんや、あっちの しらない 子に。」
「どこに いる。」
「おみやの まえに あ…

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