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みけの ごうがいやさん
みけの ごうがいやさん
作品ID51688
著者小川 未明
文字遣い新字新仮名
底本 「定本小川未明童話全集 16」 講談社
1978(昭和53)年2月10日
入力者特定非営利活動法人はるかぜ
校正者Juki
公開 / 更新2012-10-04 / 2014-09-16
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 あかとらが、みけに であって、
「その くびに つけた、ぴかぴかする ものは なんですか。」
と ききました。
「うちの ぼっちゃんが、つけて くれた すずです。」
と、みけが こたえました。
「どれ、あるいて ごらんなさい。」
 みけが あるくと、カラカラ カラと すずが なりました。
「あっはは、ごうがいやさんみたいだ。」
と、あかとらが わらいました。
 みけは はずかしく なりました。
「なんで こんな ものを、つけたのかなあ。」
 みけは かんがえながら おうちへ かえると、ちょうど ねずみが、まどの 上へ ちょろちょろと のぼりました。
 これを みつけた みけは 目を まるく しました。
 ねずみは といを つたって、えだに ついた 赤い かきを たべに きたのです。
「わるい やつだ。」
 みけは へいに のぼりました。カラカラ カラと すずが なりました。
 りこうな ねずみは、ねこの きたのを しると、かくれて しまいました。
 みけは、ざんねんで たまりません。夜まで、じっと まどの 上で、ねずみの でるのを まって いました。
 コロコロ コロと、あちらで すずの 音が します。
「おや、だれだろう。」
と、みけは 月の ひかりで みますと、ねずみが きりの 木へ のぼり、みを ゆすって、ねこを からかったのです。
 みけは あかとらの うちへ いきました。
「あかとらさん、ねずみが ばかに するから、どうぞ この すずを とって ください。」
と たのみました。
 あかとらは そうだろうと いわぬばかりに、
「ニャオ。」
と いって、みけの くびから すずを とって やりました。



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