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五百句
ごひゃくく
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「虚子五句集(上)〔全2冊〕」 岩波文庫、岩波書店
1996(平成8)年9月17日
入力者岡村和彦
校正者酒井和郎
公開 / 更新2016-07-05 / 2016-06-26
長さの目安約 36 ページ(500字/頁で計算)
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本文より



『ホトトギス』五百号の記念に出版するのであって、従って五百句に限った。
 この頃の自分の好みから言えば、勢い近頃の句が多くならねばならぬのであるが、しかし古い時代の句にもそれぞれの時代に応じて捨てがたく思うものもあるので、先ず明治・大正・昭和三時代の句をほぼ等分に採ったことになった。
 範囲は俳句を作り始めた明治二十四、五年頃から昭和十年まで、即昭和十一年十一月二十日に出版した『句日記』の句までとしたので、その後の句はこの集には洩れている。

昭和十二年五月二十七日
『ホトトギス』発行所
高浜虚子
[#改丁]
[#ページの左右中央]



明治時代

[#改ページ]



春雨の衣桁に重し恋衣
明治二十七年

夕立やぬれて戻りて欄に倚る
明治二十八年 子規を神戸病院より、須磨保養院に送りて数日滞在。

風が吹く仏来給ふけはひあり
明治二十八年八月 下戸塚、古白旧廬に移る。一日、鳴雪、五城、碧梧桐、森々招集、運座を開く。

しぐれつつ留守守る神の銀杏かな
明治二十八年

もとよりも恋は曲者の懸想文
明治二十九年

怒濤岩を噛む我を神かと朧の夜
明治二十九年

海に入りて生れかはらう朧月
明治二十九年

大根の花紫野大徳寺
明治二十九年

山門も伽藍も花の雲の上
明治二十九年

縄朽ちて水鶏叩けばあく戸なり
明治二十九年

愚庵十二勝の内、清風関
叩けども/\水鶏許されず
明治二十九年

先生が瓜盗人でおはせしか
明治二十九年

病む人の蚊遣見てゐる蚊帳の中
明治二十九年

蚊帳越しに薬煮る母をかなしみつ
明治二十九年

人病むやひたと来て鳴く壁の蝉
明治二十九年

鶏の空時つくる野分かな
明治二十九年

弟子僧にならせ給ひつ月の秋
明治二十九年

松虫に恋しき人の書斎かな
明治二十九年

盗んだる案山子の笠に雨急なり
明治二十九年

元朝の氷すてたり手水鉢
明治三十一年

石をきつて火食を知りぬ蛇穴を出る

蛇穴を出て見れば周の天下なり

穴を出る蛇を見て居る鴉かな
明治三十一年

間道の藤多き辺へ出でたりし
明治三十一年

逡巡として繭ごもらざる蚕かな
明治三十一年

橋涼み笛ふく人をとりまきぬ
明治三十一年七月二十二日 五月以来母病気のため松山にあり。八月に至る。

星落つる籬の中や砧うつ
明治三十一年

蒲団かたぐ人も乗せたり渡舟
明治三十一年

柴漬に見るもかなしき小魚かな
明治三十一年

耳とほき浮世の事や冬籠
明治三十一年

鶯や文字も知らずに歌心
明治三十二年

亀鳴くや皆愚なる村のもの
明治三十二年

薔薇呉れて聖書かしたる女かな
明治三十二年

五月雨や魚とる人の流るべう
明治三十二年

蓑虫の父よと鳴きて母もなし
明治三十二年九月十日 根岸庵例会。

稲塚にしばしもたれて旅悲し
明治三十二年九月二十五日 虚子庵例会。会者、鳴雪、碧梧桐…

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