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新頌
しんしょう
作品ID52354
著者北原 白秋
文字遣い新字旧仮名
底本 「白秋全集 5」 岩波書店
1986(昭和61)年9月5日
入力者岡村和彦
校正者川山隆
公開 / 更新2011-03-01 / 2014-09-21
長さの目安約 36 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[#ページの左右中央]


海道東征



[#改ページ]

海道東征

第一章 高千穂

男声(独唱竝に合唱)

神坐しき、蒼空と共に高く、
み身坐しき、皇祖。
  [#挿絵]かなり我が中空、
  窮み無し皇産霊、
  いざ仰げ世のことごと、
  天なるや崇きみ生を。

国成りき、綿津見の潮と稚く、
凝り成しき、この国土。
  [#挿絵]かなり我が国生、
  おぎろなし天の瓊鉾、
  いざ聴けよそのこをろに、
  大八洲騰るとよみを。

皇統や、天照らす神の御裔、
代々坐しき、日向すでに。
  [#挿絵]かなり我が高千穂、
  かぎりなし千重の波折、
  いざ祝げよ日の直射す
  海山のい照る宮居を。

神坐しき、千五百秋瑞穂の国、
皇国ぞ豊葦原。
  [#挿絵]かなり我が肇国、
  窮み無し天つみ業、
  いざ征たせ早や東へ、
  光宅らせ王沢を。

第二章 大和思慕

女声(独唱竝に合唱)

大和は国のまほろば、
たたなづく青垣山。

東や国の中央、
とりよろふ青垣山。

美しと誰ぞ隠る、
誰ぞ天降るその磐船。

愛しよ塩土の老翁、
きこえさせその大和を。

大和はも聴美し、
その雲居思遥けし。

美しの大和や、
美しの大和や。

第三章 御船出

男声女声(独唱竝に合唱)

その一

日はのぼる、旗雲の豊の茜に、
いざ御船出でませや、うまし美々津を。

海凪ぎぬ、陽炎の東に立つと、
いざ行かせ、照り美しその海道。

海凪ぎぬ、朝ぼらけ潮もかなひぬ、
艫舳接ぎ、大御船、御船出今ぞ。

その二

あな清明け、神倭磐余彦、その命や、
あな映ゆし、もろもろの皇子たちや、その皇兄や。

行でませや、おほらかに大御軍、
まだ蒙し、遥けきは鴻荒に属へり。

慶を皇祖かく積みましき、
正しきを年のむた養ひましぬ。

神柄や、幾万、年経りましき、
暉や、かつ重ね、代々坐しましぬ。

和み霊、また和せ、ただに安らと、
荒み霊、まつろはぬいざことむけむ。

大御稜威い照らすと御船出成りぬ、
日の皇子や、御鉾とり、かく起ちましぬ。

その三

日はのぼる、旗雲の照りの茜を、
いざ御船、出でませや、明き日向を。

海凪ぎぬ、満潮のゆたのたゆたに、
いざ行かせ、照り美しその海道。

海凪ぎぬ、朝ぼらけ潮もかなひぬ、
艫舳接ぎ、大御船、御船出今ぞ。

第四章 御船謡

男声(独唱竝に合唱)

その一

御船出ぞ、大御船出、
御伴船挙りさもらへ、
御伴びと挙り仰げや。
揺りとよめ科戸の風と
声放て、東に向きて。
大御船真梶繁ぬき、
照りわたる御弓の弭、
あな清明け、神にします、
あな眩ゆ、皇子にします。
はろばろや大海原、
涯なしや青水沫、
揺りとよめ大き国民、
大君に、
この神に、
讃へ言、
寿詞申せや。

その二

荒海の、
荒海の潮の八百道の、
八潮道の、
潮の八百会に、ハレ…

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