えあ草紙・青空図書館 - 作品カード


広告

土用干ノ記
どようぼしのき
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「雑誌叢書6 花月新誌 第一巻」 ゆまに書房
1984(昭和59)年11月21日
初出「花月新誌 第十六號」花月社、1877(明治10)年7月12日、(第二)「花月新誌 第十七號」花月社、1877(明治10)年7月20日
入力者小島孝弘
校正者合山林太郎
公開 / 更新2011-04-11 / 2014-09-16
長さの目安約 4 ページ(500字/頁で計算)
えあ草紙で読む
HTMLページで読む

広告

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

find Audible YouTube

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

楽天Koboで表紙を検索

広告

本文より

阮氏ノ褌ヲ曝スハ少シク激ニ失シテ長者ノ風無シ。[#挿絵]生ノ腹ヲ曝スハ甚ダ傲ニ失シテ君子ノ笑ヲ免レズ。三伏ニハ唯ダ世俗ニ随ヒ、曝ス可キ物ヲ曝スゾ善ケレ。強ヒテ奇ヲ好ムハ何ノ用ニカ立ツ可キヤ。サレド万巻ノ書貯ヘタランニハ之ヲ曝ス日数モ重ナリテ、樟脳買フ銭モ夥シケレド、余ハ戊辰ノ変ニ愛ヲ割キテ尽ク売却シタレバ、今ハ唯ダ祖考ノ親写セルモノト校訂セシモノ而已ゾ存セリ。其他ハ皆常ニ座右ニ在ル書ナレバ曝スニモ及バジ。衣裳ハ寒暑ヲ凌グ計リナレバ曝ス可キ程ノモノトテハ無シ。刀剣ハ既ニ牛犢ニ換タレバ枕刀一腰ゾ残リタリ。況テ宝器什物ノ有ル可キ様無ケレバ、必ズ曝サネバナラヌト云フコトモ無ケレド、午熱烈シキ比快キ風ノ吹キ入ルヽ小楼ニ、独リ古キ櫃ドモ取出デヽ、手ニ触ルヽ物ヲ列ラネ曝ス程面白キコトハ有ラジ。今日第一ニ曝セル物ハ
大理石板 長サ二尺五寸、広サ九寸。其ノ色純白。此石板ハ余ガ外祖父杉本樗園君ガ 文恭大君ヨリ賜ハリシ卓子ニ篏セシ石ナリ。年経ヌレバ卓子ハ摧ケテ石ノミ存セリ。濃墨ニテ石面ニ詩ヲ題スレバ、墨色渙発シテ妙ナリ。樗園君ノ遺物ハ是レノミゾ残レリ。
其ノ次ニ取リ出セル物ハ
川端歌合一巻 此ノ巻物ハ我ガ王父従五位下図書頭殿ノ自作自筆ニ係ル。芋売リ茄子売リヲ始メ、日毎ニ門過グル人々ノ歌合ナリ。其ノ文詞モ面白ケレバ、後日花月新誌ニ載セテ世ニ公ス可シ。
其ノ次ハ
羅馬涙壺 薄キ玻[#挿絵]ニテイト粗造ナル物ナリ。往昔羅馬ノ時代ニ、葬ヲ送ル者皆此壺ヲ懐ロニシ、涙ヲ注シテ墓畔ニ埋メタルモノナリト云フ。余ガ伊太利ニ遊ビシ時、該撒ノ故宮ニ近キ骨董舗ニテ獲タリ。羅馬ニハ猶多ク存セリ。其大サ皆同ジ、長サ三寸許、口径五分弱。
猶日々曝ス物ヲ次々ノ巻ニ記シテ消夏ノ一興ト為サバヤ。

(第二)
今日曝ス物ハ何々ゾ。
竹根香盒 清客素川(失姓)ノ崎陽ニテ造ル所ロ。其形古瓦ヲ[#挿絵]ス。其面ニ刻スル文ニ云フ、長楽未央漢宮瓦、高帝五年治、七年成、本二秦之興楽宮一、此瓦殆蕭何所レ書、稀世之宝」其背ニハ、傚二日本茶道宗師嘱製之法一、道光三年刻レ之 素川ト刻セリ。此盒ハ友人矢田堀函陵ノ余ニ贈ル所。今ヲ距ル十五六年、当時函陵酒量超倫。余モ亦大戸タリ。毎ニ斗酒相対シ、徹宵劇飲快論セリ。今ヤ余ハ小戸ト化シ、函陵亦多ク飲マズ。頭髪同ク種々タラントス。香盒ニ対シテ悽然旧ニ感ズ。
次ニ列スルモノハ古貨幣ナリ。数多ケレバ二品ヲ記ス。
秦始皇半両銭 此銭ハ天保二年正月八日、三州梅ヶ坪ノ山中ニテ堀出セシモノニテ、径一寸一分、重一銭八分五厘。銅質剥蝕シ、古色最モ愛ス可シ。是レ史乗ニ所謂重十二銖ニ適ス。(漢ノ十二銖ハ今ノ一銭八分九厘)秦半両ノ世ニ伝ハルモノ六七枚、秤量皆此銭ヨリ軽シ。近来支那ヨリ来ル者有リ。其秤量重シト雖ドモ、銅質大ニ異ナリ、見ルニ足ラズトス。此銭ノ他ニ冠タルハ同好ノ許ス所ロ。余ノ一家言ニ非ズ。
羅馬金貨 重一銭九分…

えあ草紙で読む

ライフメディアへ登録

Koboユーザー必見!
楽天スーパーポイントとは別に
価格の5%がポイントに!

find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2016 Sato Kazuhiko