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小鳥と兄妹
ことりときょうだい
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「定本小川未明童話全集 5」 講談社
1977(昭和52)年3月10日
入力者特定非営利活動法人はるかぜ
校正者江村秀之
公開 / 更新2014-03-05 / 2014-09-16
長さの目安約 4 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 町からはなれて、静かな村に、仲のいい兄妹が住んでいました。
 兄を太郎といい、妹を雪子といいました。二人は、毎月、町へくる新しい雑誌を買ってきて、いっしょに読むのをなによりの楽しみとしていました。
 ある日のこと、二人は、雑誌を開いて見ていますと、その月のには、美しい花や鳥の写真がたくさんに載っていました。
「まあ、きれいだこと、兄さん、この鳥は、よく見る鳥じゃありませんか。」と、雪子はいいました。
 その鳥は、すずめほどの大きさで、くびのまわりが紅く、まことに美しかったのであります。
「ああ、この鳥は、よく庭の木にやってくるうそという鳥だ。こちらにはたくさんいて珍しい鳥でないけれど、東京へゆくと、この鳥は少ないとみえて、たいせつに飼われるのだね。」と、兄はいって、雑誌に書いてあることを妹に読んで聞かせたのです。
 このとき、うそが、ちょうど庭の木にきてとまっていました。兄と妹が、雑誌を開いて、自分の写真を指さしながら、話をしているのをじっとながめていました。鳥というものは耳ざといものでありますから、二人の話はなんでもよくわかりました。そして、目もよくききましたから、二人が、窓の下で見ている雑誌の絵もわかりました。
「いま、あの子供さんたちがいっているのを聞くと、ほかの国へゆけば、自分は大事にされるということであるが、いったいどこだろう……。ああして、絵にまで自分の姿をかいて出してあるのを見れば、まんざらうそのことではない。」と、うそは思いました。
 この小鳥は、寒い、寒い、北の国に産まれたのでした。もう夏もやがてくるので仲間といっしょに、ふたたび故郷へ帰る約束をしたのであります。天気のいい日を、見はからって、彼らは旅立つことになっていました。
 うそは、友だちとした約束を忘れなかったけれど、
「どうか、自分をかわいがってくれる、その知らない土地へいってみたいものだ。」と思いました。
 彼は、木から飛びたつと、はるかあちらへ飛んでゆきました。そして、街道にあった、一本の電信柱にきて止まったのです。いつであったか、電信柱が、なんでも自分に聞けば、この世の中のことで、知らないものはないといった、そのことを思い出したからでした。
 青く晴れた、空の下で、電信柱は居眠りをしていました。その頭の上に止まると、小鳥は、黒いくちばしでコツ、コツとつついて、彼の眠りをさました。
「ああ、眠いことだ。いい風が、そよそよと吹くので、ぐっすり眠ってしまったが、俺を起こしたのは、何者だ?」と、電信柱は、不平をいわずには、いられなかったのです。
「私ですよ。いつか、あなたから、おもしろい話を聞かせていただいたことのある、旅の小鳥です。」
「ああ、そうでしたか。まだおまえさんたちは、北の国へ帰らないのですか。あの雲をごらんなさい。これからは、だんだん暑くなります。そして、日中の旅が困…

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