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八戸
はちのへ |
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作品ID | 53348 |
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著者 | 宮沢 賢治 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「新修宮沢賢治全集 第六巻」 筑摩書房 1980(昭和55)年2月15日 |
入力者 | junk |
校正者 | 土屋隆 |
公開 / 更新 | 2011-07-02 / 2014-09-16 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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さやかなる夏の衣して
ひとびとは汽車を待てども
疾みはてしわれはさびしく
琥珀もて客を待つめり
この駅はきりぎしにして
玻璃の窓海景を盛り
幾条の遙けき青や
岬にはあがる白波
南なるかの野の町に
歌ひめとなるならはしの
かゞやける唇や頬
われとても昨日はありにき
かのひとになべてを捧げ
かゞやかに四年を経しに
わが胸はにはかに重く
病葉と髪は散りにき
モートルの爆音高く
窓過ぐる黒き船あり
ひらめきて鴎はとび交ひ
岩波はまたしもあがる
そのかみもうなゐなりし日
こゝにして琥珀うりしを
あゝいまはうなゐとなりて
かのひとに行かんすべなし