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〔鉛のいろの冬海の〕
〔なまりのいろのふゆうみの〕
作品ID53422
著者宮沢 賢治
文字遣い新字旧仮名
底本 「新修宮沢賢治全集 第六巻」 筑摩書房
1980(昭和55)年2月15日
入力者junk
校正者土屋隆
公開 / 更新2011-07-24 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


鉛のいろの冬海の
荒き渚のあけがたを
家長は白きもんぱして
こらをはげまし急ぎくる

ひとりのうなゐ黄の巾を
うちかづけるが足いたみ
やゝにおくるゝそのさまを
をとめは立ちて迎へゐる

    南はるかに亙りつゝ
    氷霧にけぶる丘丘は
    こぞはひでりのうちつゞき
    たえて稔りのなかりしを

日はなほ東海ばらや
黒棚雲の下にして
褐砂に凍てし船の列
いまだに夜をゆめむらし

鉛のいろの冬海の
なぎさに子らをはげまして
いそげる父の何やらん
面にはてなきうれひあり

あゝかのうれひけふにして
晴れなんものにありもせば
ことなきつねのまどゐして
こよひぞたのしからましを



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