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君が家
きみがいえ
作品ID53544
著者萩原 朔太郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-02 / 2018-12-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


ああ戀人の家なれば
幾度そこを行ききずり
空しくかへるたそがれの
雲つれなきを恨みんや

水は流れて南する
ゆかしき庭にそそげども
たが放ちたる花中の
艶なる戀もしらでやは

垣間み見ゆるほほづきの
赤きを人の脣に
情なくふくむ日もあらば
悲しき子等はいかにせん

例へば森に烏なき
朝ざむ告ぐる冬の日も
さびしき興に言よせて
行く子ありとは知るやしらずや

ああ空しくて往來ずり
狂者に似たるふりは知るも
からたちの垣深うして
君がうれひのとどきあへず。



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