えあ草紙・青空図書館 - 作品カード


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うまや
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-19 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


高原の空に風光り、
秋はやふかみて、
鑛脈のしづくのごとく、
ひねもす銀針の落つるをおぼえ、
ゆびにとげいたみ、
せちにひそかに、
いまわれの瞳の閉づるを欲す。

ここは利根川、
その氾濫のながめいちじるく、
青空に桑の葉光り、
さんらんとして遠き山里に愁をひたす、
あはれ、あはれ、われの故郷にあなれば、
この眺望のいたましさ。
眼もはるにみゆ。
村落の光る厩のうへに、
かがやく愛の手は伸びゆきて、
われの身は銀の一脈、
ひそかに息づき生命はや絶えなんとする。
―九月七日―



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