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磨かれたる金属の手
みがかれたるきんぞくのて
作品ID53610
著者萩原 朔太郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-19 / 2018-12-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


手はえれき、
手はぷらちな、
手はらうまちずむのいたみ、
手は樹心に光り、
魚に光り、
墓石に光り、
手はあきらかに光る、
ゆくところ、
すでに肢體をはなれ、
炎炎灼熱し狂氣し、
指ひらき啓示さるるところの、
手は宙宇にありて光る、
光る金屬の我れの手くび、
するどく磨かれ、
われの瞳をめしひ、
われの肉をやぶり、
われの骨をきずつくにより、
恐るべし恐るべし、
手は白き疾患のらぢうむ、
ゆびいたみ烈しくなり、
われひそかに針をのむ。



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