えあ草紙・青空図書館 - 作品カード


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岩清水
いわしみず
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-25 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


いろ青ざめて谷間をはしり、
夕ぐれかけてただひとり、
岩をよぢのぼれるの手は鋼鐵なり、
ときすべて液體空氣の觸覺に、
山山は茜さし、
遠樹に光る、
わが偏狂の銀の魚、
したたるいたみ、
谷間を走りひたばしる、
わが哀傷の岩清水、
そのうすやみのつめたさに、
やぶるるごとく齒をぬらす、
やぶるるごとく齒をぬらす。



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