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「特殊部落研究号」発行の辞
「とくしゅぶらくけんきゅうごう」はっこうのじ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「被差別部落とは何か」 河出書房新社
2008(平成20)年2月29日
初出「民族と歴史 第二巻第一号 特殊部落研究」1919(大正8)年7月
入力者川山隆
校正者門田裕志
公開 / 更新2013-03-04 / 2014-09-16
長さの目安約 11 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

「特殊部落研究号」は何が為に発刊せらるるか。余輩がさきに同好諸氏に向って、我が特殊民に関する報告を求むべく送致せる依頼書は、ほぼその趣意を述べ尽せりと信ずるが故に、まず左にこれを掲載すべし。

特殊部落の解放に就きて敬告

 拝啓。ますます御多祥奉慶賀候う。さて小生義多年日本歴史地理学会の経営に参与仕り、雑誌「歴史地理」の誌上に於いて、広く斯学に関する研究を発表致し来りおり候うところ、近時特に我が日本民族を研究して、広くその知識を普及せしむるの必要を感じ、本年一月以来、単独に「民族と歴史」と題する月刊雑誌を発行仕り候いて、もっぱらこの方面の研究と知識の普及とに従事致しおり候う事は、或いは既に御聞き及びの事かと存じ候う。
 しかるに広く日本民族と申し候う中にも、その数無慮百二三十万にも達する特殊の一大部族これあり、彼らは同じく陛下の赤子にてありながら、一般社会より疎外隔離せられ、最も気の毒なる状態の下に、不遇の生活を送りおり候う事、世人のひとしく認知の次第と存じ候う。これを自然の成行きに放任致し候う事は、ただに彼らに対して同情に堪えざるのみならず、また彼らを解放し給える先帝の聖旨に副わざるのみならず、現時人種差別撤廃を世界に対して呼号する我が同胞間にありて、なおこの差別撤廃の実現せられざる事は、まことに相すまざる次第と存じ候う。しかのみならず、この疎外圧迫を蒙れる多数の同情すべき我が同胞には、必然の結果として或いは一般社会に対する反抗の念を高め、或いは自暴自棄の結果自然と放逸無頼に陥るものを相生じ、為に我が国家社会の生存発達の上に、少からざる障礙を来すのおそれこれ有り候う事、まことに昭代の不祥事と存じ候う。
 ここに於いてか我が政府を始めとし、大日本公道会以下、民間特志の団体または個人に於いて、つとにこれが救済改善の事に努力せらるるもの多々これ有り、近く同情融和会の開催築地本願寺に於いて行われ、遂には帝国議会の建議とも相成り候う事、まことに事宜を得たる施策と、御同慶の至りに存じ候う。
 しかれども実を申さば、彼らの間にももはや救済改善を要せざるもの多く存し、一般社会の間に於いても、かえってこれを必要とするものまた少からざる次第にこれ有り、既に明治四年穢多非人の称を廃せられてより、星霜を経る五十に近からんとする今日に於いて、なお特に或る限定せられたる社会を限り、その必要なき者をまで一括して、特別の名称の下にこれが救済改善を云為する事は、少くとも表面上無用の事にこれ有り候う。社会の不良分子は改善せざるべからず、社会の自存し能わざるものは救済せざるべからず、これを特に或る特殊の部族にのみ限るの必要は全然あるべからざる次第と存じ候う。しかるにもかかわらず、これらの同情者が依然として或る特殊の全部族を包括する特別の名辞の下に、これを呼号するを要とする所以のものは、そこに…

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