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霜夜
しもよ
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会
1991(平成3)年6月6日
入力者坂本真一
校正者フクポー
公開 / 更新2018-02-26 / 2018-01-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


夜はくだつ十一時、
霜さむく、圧しくる闇の気の凍に、
舞ひ疲れては黄塵も
しくしくと泣き湿り、
侘寝すらし。

色褪めし達摩像、
はた古りし徳利のやうに、つくねんと、
屑本のちりばふ中に
頸ほそう客を待つ
男、女

煤けたる帆木綿に
一品と文字も寂しく、灯は曇り、
皿道具鳴る中へ、つと、
忍びよる黒き物――
巡査なりき。

火の番の拍子木の
後方より『鍋焼うどん』、また来るは、
よきこゑの『恋の辻占』
鮭さげて小走りの
町の若衆。

炭俵、はた薪か、
河岸遠く、をりから物の落つる音、
犬の声、さはれ五分時、
濁水は音もなく
西へ流る。



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