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白い雲
しろいくも
作品ID54779
著者竹内 浩三
文字遣い新字新仮名
底本 「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」 藤原書店
2001(平成13)年11月30日
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2014-12-21 / 2014-11-14
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


満州というと
やっぱし遠いところ
乾いた砂が たいらかに
どこまでもつづいていて
壁の家があったりする

そのどこかの町の白い病院に
熱で干いた唇が
枯草のように
音もなく
山田のことばで
いきをしていたのか

ゆでたまごのように
あつくなった眼と
天井の
ちょうど中ごろに
活動写真のフィルムのように
山田の景色がながれていたのか

あゝその眼に
黒いカーテンが下り
その唇に
うごかない花びらが
まいおちたのか
楽譜のまいおちる
けはいにもにて

白い雲が
秋の空に
音もなく
とけて
ゆくように



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