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融和問題に関する歴史的考察
ゆうわもんだいにかんするれきしてきこうさつ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「差別の根源を考える」 河出書房新社
2008(平成20)年9月30日
初出「融和問題叢書第二編」中央融和事業協会、1928(昭和3)年8月
入力者川山隆
校正者門田裕志
公開 / 更新2013-03-25 / 2014-09-16
長さの目安約 72 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 この小冊子は昨年「融和促進」を発行しました際の予約に基づいて、もっぱらいわゆる特殊部落の由来変遷を述べたものであります。今もなお往々にして存する差別観念は、まったく因習から導かれた感情の結果でありまして、もはや議論の余地はありません。したがって議論ではなるほどと承認して、表面差別待遇をしなくなりましても、因習の根本たる歴史が明らかになっていなかったならば、いわゆる感情が承知しないで、なお水と油とを合わせたように、心から、底から、打ち解けて、融和することの困難な場合がないともいわれません。読者願わくば前回発行の『融和促進』とこの小冊子とを併せ読まれて、過去における差別の因って来たったところ、その間違いであったことの事情を明らかにし、すみやかにその非を改めて、ともどもに真の融和に向かって進みたいものであります。
昭和二年一月十五日
喜田貞吉識
[#改ページ]

1 はしがき

 私はさきに『融和促進』という小冊子を書きまして、その中に多少歴史に関する事柄をも述べておきました。しかしもともとかの書は、いかにして融和を促進すべきかということを主に述べたものでありましたから、自然歴史上の説明には、あまり深く立ち入ることができませんでした。そこで歴史のことについては、他日別にやや精しいものを発表することを予約しておきましたが、今やその予約を果たそうと思うのであります。
 いわゆる特殊部落の歴史につきましては、先年、中央社会事業協会地方改善部の依頼によって、広島で講演しました筆記を整理しまして、「歴史上より見たる差別撤廃問題」という表題で、同会から発表したことがありました。しかしそれは少し精しすぎ、またむずかしすぎまして、これを広く世間に頒布し、多数のお方々の閲読を求めるには、いささか不適当なものでありました。その後同愛会の機関雑誌『同愛』の特別号にも、簡単に記述して載せてもらったことがありましたが、それはまたあまりに簡単であるばかりでなく、こちらで希望するように広く普及するという訳には参らなかったことと思いますから、今度さらにそれらを書き直して、中央融和事業協会から発行していただきまして、なるべく広く世間にこの知識を普及させたいと思うのであります。これによっていくらかでも、融和の上に貢献するところがあれば、私にとって望外の仕合せたるは申すまでもありません。したがって自然この書の説くところが、前のものと重複するところもありましょうが、それはまずもって御容赦を願っておきます。

2 歴史的考察の必要

 さて本文に入るに先だって、私はここにいささか、歴史的考察の必要を述べておきたいと思います。
 私は多年この歴史的知識の普及の必要を感じまして、機会あるごとにこれが宣伝を試みているのであります。しかるに近ごろは、しばしばこれに対して非難の声を聞くようになりました。その非難の…

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