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ベートーヴェンの生涯
ベートーヴェンのしょうがい
副題06 付録 ベートーヴェンへの感謝
06 ふろく ベートーヴェンへのかんしゃ
著者
翻訳者片山 敏彦
文字遣い新字新仮名
底本 「ベートーヴェンの生涯」 岩波文庫、岩波書店
1938(昭和13)年11月15日
入力者門田裕志
校正者仙酔ゑびす
公開 / 更新2012-05-21 / 2014-09-16
長さの目安約 29 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

[#ページの左右中央]


付録
ベートーヴェンへの感謝*       ロマン・ロラン
ヴィーンにおけるベートーヴェン記念祭の講演


[#改丁]


 われわれの生活の偉大な伴侶であってくれたその人に、私は、この一時代の感謝の言葉を――Dankgesang(感謝の歌)をささげる。
 われわれの幼い時からこの方、彼がいかにわれわれのために友であり、助言者であり、慰謝者であってくれたかは、私はそれを間に合わせの貧弱な言葉ではとうていいいあらわすことができない。けれどもあなた方――みずからそれを経験されたあなた方は、私同様にその事を知っていられる。私の言葉を聴いていられる方々の中の多くは、ベートーヴェンに助力を負うていられる。多くの方々は、試練の時に当たってベートーヴェンに助けを求め、彼の力強い親切な魂の中で、苦悩の和らぎと生きる勇気とを汲み採られて来たのであった。
 ここで私がいいたいと思うことは、われわれを、あらゆる国々のわれわれを、この世で彼の生涯の後につづく世紀に生きたわれわれを、彼がいかに帰服させたかというそのことである。それはまさに彼が、ゲーテの次の言葉を彼自身の言葉として適用した日に予見していたとおりのことなのである。
「私が私の同時代者らから受けなければならなかった不当の損失の代償を、この次の時代、またその次の時代が二度か三度支払ってくれることだろう**……。
*原注――この文章はベートーヴェン百年祭のために、一九二七年二月二十八日にヴィーンでロマン・ロランが朗読したものである。
**原注――『西東詩篇』(West-[#挿絵]stlicher Divan)のゲーテの序文。――ベートーヴェンは自分の持っていた本のこの部分にアンダーラインをしていた。またそれを彼の『手帳』に書き抜きした。

 思うにあらゆる征服の中で、精神による征服ほど貴いものはない。そうして精神の領域の中で、音楽による征服ほど深くかつ遠く及ぶものはない。
 一つの有名な対話の中で、ベートーヴェンは次のようなことをいった――
 Musik ist die Vermittlung des geistigen Lebens zum sinnlichen.
(音楽は精神生活を感覚生活へ媒介する者である。)
 われわれが偉大な音楽家の思想の中へ透入するのは感覚によってである。その思想の意味しているところの物をわれわれが会得する以前に、まずそれは我々の肉に滲み込む。そういう思想が女や子供の魂のような柔順な魂をいつのまにか薫陶するのは、実にそのような至高の魔術によってなのである。
 無数の若いヨーロッパ人の魂を、いかにベートーヴェンの音楽が鍛えたかということを、私は諸君に示してみたいと思う。そうして、諸君の前で私自身の思い出に遡りつつ、彼がわれわれの本質の奥底に浸徹し、そこに彼の精神と彼の意志と…

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