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月あかり
つきあかり
作品ID55025
著者仲村 渠
文字遣い新字旧仮名
底本 「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会
1991(平成3)年6月6日
入力者坂本真一
校正者良本典代
公開 / 更新2017-09-23 / 2017-08-25
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


青い おほきい船にのつてゆかう。
ほんとうに痩せてしまつたぼくの肩
あたらしい紺飛白ばかり匂ひがたかいよ。
月あかりは胸から背なへぬけてしまつた
ほそながい影ひとつ ぼくのうしろへ映つてゐやしない。
たゞ青くつて
しづかな航海はほんとうにこころぼそい
楽隊ずきのペンギン鳥が氷の島に
月のしたに並んでゐたつて
陽気な唄も
銀笛ひとつ持ちあはしてはゐないのさ。
月あかりの向ふにみんなみんな消えていつた
弟のやつも 母も 友だちも消えていつた

船尾にうごくさびしい旗と。
旗のしたに立つた僕と。
たゞ青くつて
しづかな航海はほんとうにこころぼそい。



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