えあ草紙・青空図書館 - 作品カード


広告

びるぜん祈祷
びるぜんきとう
著者
翻訳者上田 敏
文字遣い旧字旧仮名
底本 「上田敏全訳詩集」 岩波文庫、岩波書店
1962(昭和37)年12月16日
初出「心の花 五ノ一」1902(明治35)年1月
入力者川山隆
校正者成宮佐知子
公開 / 更新2012-11-29 / 2014-09-16
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
えあ草紙で読む
HTMLページで読む

広告

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

find Audible YouTube

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

楽天Koboで表紙を検索

広告

本文より


母なるをとめ、わが子のむすめ、
賤しくして、また、なによりも尊く、
永遠の謀のさだかなるめあて、
君こそは人性を尊からしむれ、
物みなの造りぬしも、
其造りなるを卑まざりき。
その胎に照りたる愛は、
この花をとこ世に靜けく、
温め生ふし開き給ひぬ。
ここにゐては愛の央の松あかし。
下界人間に雜はりては、望の生ける泉なり。
大なる哉、徳ある哉、われらの君よ、
恩寵をえまくほりする者、
君の御前にまだ來ぬは、
その願ひ翼なくして飛ぶを思ふや。

御慈悲は、願ひ人を助くるのみならず、
おのづから願に先だつこと多かり。
君に憐、君に悲、君に惠、
造化のよしといふよき物は君に集ひぬ。
茲に今、宇宙の池のいと深き底より、
この天堂にしも、また昇り、
靈のひとつびとつを眺むるもの、
伏して願はくは、終の福にむかひ、
眼うち仰ぎ得むことを祈る。
今彼の眺を望むばかり、
己が眺を望む時にも切ならざりし吾。
茲に一切の祈を捧げて、
足らざること勿れと念ず。
君よ、人間の迷雲を此人より拂ひて、
至上の悦をえさせたまへ。
重ねて祈り申さく
思のまゝのなべてを行ふ后の宮よ、
かゝる大觀の後までも、
かれが心をそこなはず、
君の護のあるが故に、
人間の混亂を滅ぼし給へ。
わが祈に添ひてベアトリチエと諸聖と、
合掌祈念するをも、うけさせ給へや。



えあ草紙で読む

ライフメディアへ登録

Koboユーザー必見!
楽天スーパーポイントとは別に
価格の5%がポイントに!

find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2016 Sato Kazuhiko