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橋の上の自画像
はしのうえのじがぞう
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「富永太郎詩集」 現代詩文庫、思潮社
1975(昭和50)年7月10日
初出「山繭 創刊号」1924(大正13)年
入力者村松洋一
校正者Juki
公開 / 更新2013-11-10 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


今宵私のパイプは橋の上で
狂暴に煙を上昇させる。

今宵あれらの水びたしの荷足は
すべて昇天しなければならぬ、
頬被りした船頭たちを載せて。

電車らは花車の亡霊のやうに
音もなく夜の中に拡散し遂げる。
(靴穿きで木橋を蹈む淋しさ!)

私は明滅する「仁丹」の広告塔を憎む。
またすべての詞華集とカルピスソーダ水とを嫌ふ。

哀れな欲望過多症患者が
人類撲滅の大志を抱いて、
最後を遂げるに間近い夜だ。

蛾よ、蛾よ、
ガードの鉄柱にとまつて、震へて、
夥しく産卵して死ぬべし、死ぬべし。

咲き出でた交番の赤ランプは
おまへの看護には過ぎたるものだ。



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