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俺達の農民組合
おれたちののうみんくみあい
作品ID55528
著者今野 大力
文字遣い新字新仮名
底本 「今野大力作品集」 新日本出版社
1995(平成7)年6月30日
初出「文芸戦線」1929(昭和4)年12月号
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-02-03 / 2015-01-16
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


たとえ豊作であろうとなかろうと
たとえ凶作であろうとなかろうと
彼達の為めに
地主達が共謀してこさえているブルジョア政府には
どれだけのどんな対策があるか。
ジリジリと太陽の直下に照りつけられ
やけつくような土を踏んで
どんな楽しそうな華やかなよろこびにも恵まれない
土をいじって、作物を育て
真黒い飯を喰って、菜ッ葉の汁を啜り
黙って働いていさえすれば
俺達百姓がどのように苦痛にひたされていようとも
平穏無事、平和な奴等は飽くなき享楽をみたし
莫大な資産の勘定に余念がない。

俺達の農民組合!
農民組合こそが、
たとえ反動政府が限りなき弾圧を加え
牛蒡でも引っこ抜くかのように闘士を奪って
紳士づらした、だが凶暴な奴等の為めに
警察署では
驚ろくべき惨虐な拷問でおびやかし
滅茶苦茶に組合を叩きつぶそうとしようとも
無智であり、愚昧であるとして
飽くなき侮辱と搾取の続けられた中から
ようやく農民達は自らの立場に目覚めつつあるものを。
俺達は共に
大地を背負っても起き上ろうとする努力をもって
憎悪と憤怒に魂を燃やし
しつように手ごわく
やつらへの敵意を
農民組合へぶちこもうとする。

俺達の農民組合!
農民組合こそが
俺達のやつらに対する唯一の闘争前衛であり
俺達が皆一しょに
明日の朗らかな日の勝利を学ぶべき学校であるだろう
生れ故郷では喰い物もなく瘠せ細り、
殖民地北海道では地主と政府にだまされて
巧妙にはめられて
正直故には一層惨めに、
収穫がたとえどれだけあろうとも
来るべき年は地獄の年。

だが俺達は農民組合を知り
組合の応援を得て争議を起し
いつも傲慢な地主を此時ばかりは小気味よくやっつけることが出来る。
組合は飽くまで俺達の味方であり、
やつらの妥協に反撥する
それ故には限りなき「治安者」の暴力下に生身をくじかれねばならない、今しばし。

たとえブルジョアの逆宣伝で
どんな悪意地に新聞記事がこさえられていようとも
農民の農民組合の闘士達は起ち上る
かつてめざましく争議を指導した闘士達が
今は牢獄のうちに送られて
やつらのために日に日に鞭打たれていようとも
農民と農民を指導する組合の団結精神は残される
そして飽くなきやつら地主ブルジョア政府の反動に対する闘争は継続される
やがて来るべき俺達の勝利の日まで。



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