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寺院の右にて
じいんのみぎにて
作品ID55542
著者今野 大力
文字遣い新字新仮名
底本 「今野大力作品集」 新日本出版社
1995(平成7)年6月30日
初出「旭川新聞」1924(大正13)年5月19日
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-03-02 / 2015-02-17
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


古典の縁起を語れる大楼門の右にて感ずるは
極めてあわれなる庶民等が心中ぞ土に生くるものの幸を忘れて自己等が建つるこの寺院に拠り魂のざんげをせん人々のかなしさぞ
    *
鳥けものの屍土に在りて
此処は人の香もせざりし頃より
未だ幾年を経しか
魂は未だに限りもなく
深山幽谷の彼方に憧れあるに
愚かなる望郷の者達は
ここにあり往かんとせじ
せめては古典のめぐしみに
会せんとのみ願えるか
我等北国の叢生
彼方へ憧れあるものの
アブサント、阿片によいるが如くひたぶるに恋してあるに
    *
あああわれなる庶民等が心中ぞ
往かんと願えるものはあらざるか
    *
彼らすべて懐郷病の患者なり



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