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天の海
そらのうみ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「今野大力作品集」 新日本出版社
1995(平成7)年6月30日
初出「旭川新聞」1927(昭和2)年1月22日
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-01-10 / 2015-01-06
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


始皇よ
長城の如けん
うねうねと連らなる山脈

駅路より駅路へ
人は人をたよりて
母を父を子を友を同胞を
旅するものの心つたえて
赤き逓送車のまわりゆくまで
極みなき地平の物語り出る物語り
丘に上り我は今日も
駅逓の旗を見ん
(郷土は峡谷に馥郁たる香の花を秘めて
 知られざる時代に埋もれゆくよ)
太古の儘なる森林に入りて
もの思う男もあり
禿山の頂に立ちて
山脈の彼方なつかしの海にあらずやとふるさとへの思いをよせる男もあり

されど、されど
始皇よ
長城の如けん
うねうねと連らなる山脈の此方にありて
日常見る
地の海ならじ
天の海をゆく
白鯨のありて
そを追える数多の捕鯨者
我世の中を過ぎゆくなり



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