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ヌタプカムシペ山脈の畔り
ヌタプカムシペさんみゃくのほとり
作品ID55565
著者今野 大力
文字遣い新字新仮名
底本 「今野大力作品集」 新日本出版社
1995(平成7)年6月30日
初出「詩と人生」1924(大正13)年2月号
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-05-07 / 2015-03-08
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


色づく木々の丘の上の林へ
今日一日私は出かけた
めずらしい晴天である
葡萄の葉と楡と、楢と栓とそれらみんな色づいて来た
最早すべて葉を落したものもある
つたをたぐって丘に登る時
私は愉快である
登って見下せば又愉快である
みごもった稲田を広い平野の端から端へ
見てゆくのも愉快である
いろんな野菜の収穫の終った畑も
今は黍と芋蔓がしょんぼりと残っているのみで、
麓の清い澄んだ流れは紅い木の葉を浮べて流れている
木の葉を蹴って狭い山路をゆけば
どんぐりがころころといくつもいくつも転んで行く
ある処は焚火の跡もあり
弁当を食べた空箱もある
私は見晴しのいい処を探ねて行った
そして帰りは
タバコの空箱を拾って
どん栗を入れて
弟と妹のお土産とした。



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