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夕ぐれの明るさに憶う
ゆうぐれのあかるさにおもう
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「今野大力作品集」 新日本出版社
1995(平成7)年6月30日
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-07-03 / 2015-06-24
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


夕ぐれのあかるさ
パッと室一杯にあふれて
十六燭の電灯のあかるさなど
小さくすぼんでいるようなこころよい明るさ
忽ちに薄暗くなるこの時刻に
これは又何といい明るさだ
カーテンをすっかりとり払い
硝子窓を通してもかまわない
あの明るい空を眺めよう

あの空
あの色
何がこんなにうれしいのか
もう三年越しの病人が
こしらえたような感激を求めているのだろうか
そうではない、たしかに、
空が広いのだ、
広大無辺!
そんな言葉なんかで表現できない
無限の無限の無限の空
あれがこの世界の一つの姿なのだ

あくせくした
けちけちした
僅かばかりの
たったほんの賃銀さえ
一人の食べ物代にもならないような
待遇がはっきりしてくるのだ

つい先頃極北の海に
氷塊の圧迫のために
ソヴェートの探険船が沈んだ時
零下四十度の酷寒を犯してそれを救援した
ソヴェートの優秀な飛行隊の英雄的壮挙は
何と素晴らしいニュースであろう。
あの大自然との苦闘に満ちた人間の記録はとても
私達の国では思いも及ばない
サヴェート社会の人々は
人間に可能な成長力や創造力はあの空のように無限であることを
経験しつつ
勇み立ち躍動している

だが私達の眼の前には
自殺や心中や強盗や
国際的には威喝 掠奪 戦争などが盛んであり
ただもう
ぶっちぢめろ ぶっちぢめろ
とちぢめられた虐げられ悔られた
人民の群がちっちゃく住んでいるのだ。
だから思う存分
伸々とあのような広い空さえ見つける
ことが出来ずにいるのかも知れない



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