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街の子等
まちのこら
作品ID55583
著者今野 大力
文字遣い新字新仮名
底本 「今野大力作品集」 新日本出版社
1995(平成7)年6月30日
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-06-24 / 2015-03-08
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


街の子は今日も遊んでいた
そしてふと子供の一人が大声で言った
「やあい キョウサントウ!」

いい声だそしていい言葉だ 空間は完全にこの声に貫かれた
「やあい キョウサントウ!」
鬼ごっこで仲間の一人が捕ったので思い出したこの言葉
だが、これはただの言葉でない、
街の子が言うほどの遊びながら呼ぶほどの
捕まったので思い出したほどの言葉なれど
この時代にはこの言葉に総身の毛をよだてている人間がいるのだ
その時ふと。
一人で通りかかった男が潜っている党員で
胸の中に何を考えたか
街の子はそれを感ずく筈もない
そして又 もう一度
「やあい キョウサントウ!」

街の子は面白い言葉を発見したつもりで叫ぶ
そしてやがて奪われた子を奪い返しに
猛然とはげしく突かかってゆく



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