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「白秋詩集」第一巻解題
はくしゅうししゅうだいいっかんかいだい
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「白秋全集 3」 岩波書店
1985(昭和60)年5月7日
初出「白秋詩集 第一巻」アルス、1920(大正9)年9月3日
入力者岡村和彦
校正者フクポー
公開 / 更新2017-05-21 / 2017-03-11
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


一、本巻には東京景物詩「雪と花火」以後の所作を輯める事にした。而して新らしい作から前に組むだ。既に公刊した集はなるべく原形の儘にした。なほ多少削除した分もある。
一、「青燈集」の諸作は主として大正五年より八年に至る、葛飾、動阪、小田原時代のものである。尤も「童と母」「麻布山」の二篇はその以前の作である。此集は可なり詩風の違つたものが混淆してゐる。が、作品が少いので一括して仮りにここに収めた。
一、童謡集の「赤い鳥小鳥」は大正六年より八年に至る、主として雑誌「赤い鳥」の発刊を機縁として作り初めた童謡の第一期の収穫で、これらは曾て公刊した「とんぼの眼玉」にその後の新作を附け加へて、その順序を一層整理したものである。
一、「大悲集」は大正三年に出版した「印度更紗」の第一輯「真珠抄」第二輯「白金の独楽」を主とし、これに同じく四年作「ほのかなるもの」を加へて一括したものである。「白金の独楽」は五章になつてゐる。つまり此の集では現身抄までがさうである。なほ別巻として収めた二章は殆ど同時代の作で、やや遅れて成つたものである。尤も「春雨の一滴」「竹林火」だけは七年の新作である。なほ「真珠抄」の短唱は大正の二年三崎にゐた当時に創めて、その後にまた作り足した。
一、「畑の祭」は三崎詩集で、歌集の「雲母集」と姉妹集たるべきものである。尤興を得たのは三崎生活の当時であるが、その当時の作は少い。主として小笠原に行つてから、それからその後まで引続いた。実は「印度更紗」の二集より先きに公刊すべきであつたが、その機を外づして了つて、たうたう今日に至つた。中に小笠原のが一篇ある。
一、「雪と花火」は元「東京景物詩」として大正二年に上梓されたのをその後増補して改題したものである。この集も初めの出版が遅れて了つたが、作品は明治の四十二年以後のもので、「邪宗門」の後、「思ひ出」の大部分、歌集の「桐の花」等のそれらと殆ど同時代に成つたもので、その中からたゞ「思ひ出」風のものを除いた詩作の全部であつた。で彼是その詩風に就ても流通するものがある。これは御参考迄に申上て置く。
一、なほ本巻編纂に際しては、一集一集の序文なり余言なりを除いて本文だけにした。私のこれまでの詩集は一冊一冊に各独特の風情があるから、この全作集を総括的に読まれる方も是非ともそれらの各冊を一々に愛してほしいものである。



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