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宮沢賢治全集刊行に際して
みやざわけんじぜんしゅうかんこうにさいして
作品ID55633
著者中原 中也
文字遣い新字旧仮名
底本 「新編中原中也全集 第四巻 評論・小説」 角川書店
2003(平成15)年11月25日
初出「作品」1935(昭和10)年新年号
入力者村松洋一
校正者noriko saito
公開 / 更新2014-10-26 / 2014-09-15
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 宮沢賢治全集の、第一回配本が出ました。僕は彼の詩集、「春と修羅」を十年来愛読してゐますが、自分が無名のために、此の地方で印刷された驚くべき詩集を、皆さんにお知らせする術を持ちませんでした。今年、「宮沢が死んだ」と聞いた時には、大変気の毒に思ひました。すると間もなく、彼の全集が出ると聞いて、喜んだことは勿論ですが、却て忌々しい気もしました。例へば、二ヶ月も気持が腐つて、湯にも這入らない後で、偶々お湯に這入つてごらんなさい! 脳貧血を起さないまでも、一層がつかりしますから。それと同じやうなことです。
 此の我々の感性に近いもの、寧ろ民謡でさへある殉情詩が、此の殉情的な国で、今迄読まれなかつたなぞといふことは不思議だと、今度此の全集の第一巻が出た後では、諸君も必ずやさうお思ひになることと思ひます。
 今は多くを申しません。何れ「明治・大正詩人論」といふ書が近々出るわけですから、その中で宮沢賢治のことは、詳しく論じたいと思つてゐます。
 全集が弘く読まれる事を希望しつつ、広告の一助にもと一寸一言申述べます。



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