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パイとやきがたのはなし
パイとやきがたのはなし
作品ID55889
原題THE TALE OF THE PIE AND THE PATTY-PAN
著者ポター ビアトリクス
翻訳者大久保 ゆう
文字遣い新字新仮名
入力者大久保ゆう
校正者
公開 / 更新2013-02-02 / 2022-04-21
長さの目安約 19 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[#挿絵]
[#挿絵]
[#挿絵]

 ネコちゃんぬくぬく――まったくだこと
 さんぽの子犬――「あらネコちゃんさん
 お元気、おくさん? おくさん、お元気?」
「どうも子犬さん、おたがいさまよ!」
古い歌より

[#挿絵]
 むかしむかし あるところに リービという ネコちゃんが おりました。 ある日、 ダッチェスという 子犬を お茶に おまねきすることに。
 リービの お手紙は こうです。「ごつごうの よいときに おこしください。 とってもとっても すてきなものを 手に入れまして。 なので 白地で ふちどりが もも色の パイざらで つつみやきに するつもりです。 きっと はじめて あじわう おいしさですよ! ひとりで ぺろり たいらげること まちがいなし。 わたしは マフィンで かまいません。」と リービは 書き書き。
 このお手紙を よんだ ダッチェスは おへんじ したためます ――「では よろこんで 4時15分に うかがいます。 ところで ふしぎなことも あるものですね。 わたくしも こちらで ゆうげはと おまねきに うかがおうと していたところで。 たいそう びみなものが ございまして。
 それでは お時間どおりに まいります。」と 書いてから ダッチェスは おわりに こう つけくわえます。「ただ ネズミの パイは ちょっと ……」
[#挿絵]
 とはいえ あとで ぶしつけだなと 思いなおして、〈た〉だけ のこして あとは けし、〈たのしみに しております〉に 書きかえました。 そして お手紙を ゆうびんやさんに わたします。
 それでも リービの パイのことが たいへん 気がかりなので、 なんども くりかえし リービの お手紙を よみかえしました。
「きっと ネズミパイですわ、 どういたしましょう!」と ダッチェスは ひとりごと ――「むり、 ネズミパイを 口にするなんて むりですの。 でも お茶会ですもの、 口にしなきゃ しつれいですわ。 こっちで 子牛と ブタももの パイを 作るところでしたのに。 白地に ふちどりが もも色の パイざら! そうですわ、 うちにも ございます、 リービの おさらと おんなじものが。 だって どちらも ぐいぐいタビサのところで 買ったんですもの。」
 ダッチェスは たべものおきばに 入りこみ、 たなから パイを おろして まじまじ。
[#挿絵]
「あとは オーヴンに 入れるだけ。 うっとりするほどの パイきじ。 きじが かたくずれしないよう、 ちっちゃな かなものの やきがたを なかに 入れてございますから、 まんなかに フォークで あなを あけて ゆげが にげるように してありますの ―― んもう、 できれば こっちを 口にしとう ございますわ、 ネズミパイじゃなくって!」
 なやみに なやむ ダッチェスは ま…

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