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饑餓の饗宴
きがのきょうえん
著者
翻訳者富永 太郎
文字遣い新字旧仮名
底本 「富永太郎詩集」 現代詩文庫、思潮社
1975(昭和50)年7月10日
入力者川山隆
校正者Juki
公開 / 更新2014-09-23 / 2014-09-15
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


 俺の饑よ、アヌ、アヌ、
  驢馬に乗つて 逃げろ。

俺に食気が あるとしたら、
食ひたいものは、土と石。
ヂヌ、ヂヌ、ヂヌ、ヂヌ、空気を食はう、
岩を、火を、鉄を。

俺の饑よ、廻れ、去れ。
  音の平原!
旋花のはしやいだ
  毒を吸へ。

貧者の砕いた 礫を啖へ、
 教会堂の 古びた石を、
 洪水の子なる 磧の石を、
 くすんだ谷に 臥てゐる麺麭を。

俺の饑は、黒い空気のどんづまり、
 鳴り響く蒼空!
――俺を牽くのは 胃の腑ばかり、
  それが不幸だ。

地の上に 葉が現はれた。
饐えた果実の 肉へ行かう。
畝の胸で 俺が摘むのは、
野萵苣に菫。

 俺の饑よ、アヌ、アヌ、
 驢馬に乗つて逃げろ。



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